最終更新時刻:2009年7月10日(金) 7時45分

大人の皮膚から万能細胞…京大教授ら成功、再生医療期待

FujiSankei Business i.

2007/11/21 10:31  

 大人の皮膚細胞に4種類の遺伝子を導入するだけで、ほぼ無限に増殖し、神経や筋肉、骨などのあらゆる細胞に変わる胚(はい)性幹(ES)細胞(万能細胞)に似た「人工多能性幹(iPS)細胞」が作り出された。京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らが21日、米科学誌セルの電子版に発表した。新薬開発に役立つほか、再生医療を実現する最有力手段になると期待される。

 1998年にヒト受精卵からES細胞を世界で初めて作った米ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らも同日、ヒト皮膚細胞に半分違う4種類の遺伝子を導入してiPS細胞を作成したと米科学誌サイエンス電子版に発表した。

 従来、脊髄(せきずい)損傷などの再生医療の実現にはES細胞を使う方法が有力視されてきたが、赤ちゃんになる受精卵を壊す倫理問題があり、世界的に反対論や研究規制があった。

 また、神経などに分化させた細胞を患者に移植した際の免疫拒絶反応を避けるには、患者の体細胞核と卵子を組み合わせたクローン胚からES細胞を作る必要があるが、韓国ソウル大教授らが発表した「初成功」は捏造(ねつぞう)と判明。卵子の入手難もあり、サルでしか成功していない。

 山中教授らは昨年8月、マウスの皮膚の線維芽(せんいが)細胞に遺伝子全体の司令塔役となる「Oct3/4」や「Sox2」など4種類の遺伝子をレトロウイルスを使って導入し、iPS細胞を初作成したと発表。培養法や添加物を工夫してヒトでも成功し、マウスの皮下に移植するなどして、神経や腸管、拍動する心筋などの細胞に変えることができた。ただし、再生医療応用には、がんの原因になるレトロウイルスを使わない方法を開発する必要がある。

 山中教授は「マラソンだとゴールが見えた感じで、再生医療研究が一気に進む可能性がある。でも日本がそのままゴールできるか分からない。『国立幹細胞研究所』のような体制が必要だ」と話している。

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