FujiSankei Business i.
2006/10/20 09:49
米シリコンバレーのハイテク企業が、急成長を続ける太陽電池市場への進出を加速している。太陽電池を作れる半導体製造装置や、需給が逼迫(ひっぱく)している原料のシリコンを使わずに太陽電池を作る新技術で、“太陽電池王国”といわれる日本に戦いを挑もうとしている。
米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、半導体製造装置大手、アプライドマテリアルズは、TFT(薄膜トランジスタ)パネルと、太陽電池の薄膜セルの両方を製造できる装置を開発した。
この装置を使えば、半導体メーカーは、製造ラインをいつでも太陽電池向けに切り替えることができ、装置の普及で太陽電池の供給が急増する可能性がある。同社は太陽電池製造装置市場が今後4年で3倍の30億ドル(約3570億円)に拡大すると予測。2010年までに新製品で5億ドル(約600億円)の売り上げを見込む。
半導体大手サイプレスセミコンダクタは、4年前に買収した太陽電池メーカー、サンパワーに多額の投資を行った。サンパワーの売り上げは04年の1000万ドルから今年は2億3000万ドルへと急拡大が見込まれており、今後、グループの事業の軸足は半導体から太陽電池に移る見通しだ。
太陽電池市場が注目されているのは、ブッシュ政権がクリーンエネルギーへの取り組みを本格化させていることに加え、化石燃料の高値推移が続く一方で、太陽電池の製造コストが年々低下し、競争力を高めているためだ。太陽電池のコストは化石燃料に比べなお、2〜3倍といわれるが、このコストを許容してでも、クリーンエネルギーを導入しようとする動きが活発化している。
ロイター通信によると、インターネット検索最大手グーグルは、シリコンバレーの本社ビルに1000世帯分に相当する1・6メガワットの太陽光発電を導入する。シャープ製の太陽電池パネル9212枚でビルの全消費電力の約3割をまかなう計画で、自家用としては世界最大規模になる。
導入費などは明らかにしていないが、報道によると、グーグルは「環境問題と収益性を両立したい」としている。検索サービスで大量の電力を消費する企業として、環境問題への取り組み姿勢を強調する狙いとみられる。太陽電池導入の動きは、ソフト最大手、マイクロソフトなどの大手企業に広がっており、市場の拡大は加速しそうだ。
ただ、太陽電池は原料のシリコンを大量に消費するため、供給をいかに確保するかが課題だ。「現状のまま推移すれば、今年から来年にかけ世界の太陽電池用シリコンは500〜1000メガワット分不足する」(住友商事)とみられている。
ロサンゼルス・タイムズによると、銅とインジウムを原料に太陽電池の薄膜セルを作る新技術の開発を続けているシリコンバレーのベンチャー企業ナノソーラーは、ベンチャーファンドから1億ドル(約119億円)の資金を引き出すのに成功した。開発に成功すれば、一挙にシェアを拡大するのも夢ではなくなる。
同紙によると、カリフォルニア州当局は、「世界の太陽電池市場の約3分の1を占める」(日本の大手メーカー)といわれる日本を追い越すことを目標にしている。シリコンバレー発の新技術は、世界市場で5割弱を占める日本メーカーにとっても脅威となりそうだ。
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