iPod製造会社の長時間労働問題、告発記者への名誉棄損裁判で進展

文:Jo Best(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年09月01日 19時58分

 Apple ComputerからiPodの製造を請け負っているFoxconnは、同社の子会社が運営する工場の従業員の扱いに関する記事を書いた中国人記者2人に対し、名誉棄損を理由に損害賠償を求めていた訴訟で、Foxconnは損害賠償請求額を大幅に減額した。

 今回の訴訟の中心人物であるChina Business Newsの2人の記者である、Wang You氏とWeng Bao氏は当初、Foxconnから3000万元(約380万ドル)の損害賠償を求める名誉棄損訴訟を起こされ、中国の裁判所に銀行預金を含む資産が凍結されていた。

 しかし、その後の騒動の影響か、Foxconnの現在の請求額はわずか1元と形だけの損害賠償請求となっている。また、同社は記者2人の資産凍結の申し立ても撤回した。

 問題の記事によると、Foxconnの龍華工場の従業員らは、残業を強いられた上、劣悪な生活環境に我慢し、1回に12時間以上も立って労働しなければならなかったという。

 Appleは最近、ロンドンのMail紙の日曜版であるMail on Sundayの記事に促される形で、問題の工場の労働条件を独自に調査した。その調査では、同工場の従業員の労働時間は、契約上の労働時間である60時間を超過しており、またその他にも複数の行動規範にも違反していたことがわかった。

 Foxconnは今週発表した声明の中で、You氏らの記事を「(2つの)軽率な記事」と非難し、さらに次のように続けた。「今回の一件で、(Foxconnが)求めているのは、会社の名声を守り、中国の威厳を保つための権利にすぎない。われわれに対する全ての主張は、どちらかと言うと象徴的意味合いが強い。われわれは、裁判の結果得られる損害賠償金の全額を慈善活動のため非営利団体に寄付することをここに誓う」

 この訴訟は、メディアの反発を招き、ついには国境なき記者団(Reporters Without Borders)がApple最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏に、記者2人を守るよう促す公開書簡を送付する事態に発展した。Appleの広報担当者によると、「(同社は)陰でこの問題の解決に向け取り組んでいる」という。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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