SBIの北尾氏、フジとライブドア問題に「大人の解決策ある」--ソフトバンクとの関係も語る

別井貴志(CNET Japan編集部)2005年03月24日 21時38分

ファンドはフジの防衛策ではないが……

 ソフトバンク・インベストメント(SBI)の代表取締役CEOである北尾吉孝氏は3月24日、フジテレビジョンとニッポン放送との共同出資により新たに設立するベンチャーキャピタルファンド「SBIビービー・メディア投資事業有限責任組合」(通称:SBIビービー・メディアファンド)について説明するために、緊急記者会見を開いた。

 冒頭に北尾氏は「フジテレビとニッポン放送と共に記者会見することが筋だと考えたので、一緒じゃなければ本来は記者会見をするつもりはなかったが、あまりにも強力に説明を求められたのでお話しする」と述べ、たった1人の会見となった。

ソフトバンク・インベストメント 代表取締役CEOの北尾吉孝氏

 SBIビービー・メディアファンドは、当初SBIとSBIの子会社であるSBIベンチャーズが20億円、フジテレビが160億円、ニッポン放送が20億円の合計200億円を出資して、おもに映像や音楽、出版などのコンテンツ事業、メディア関連事業、ブロードバンドを行うベンチャー企業へ投資するファンドだ。運用期間は約5年間(2年間延長する場合あり)で、決算期は12月末となっている。

 このファンドについて北尾氏は「我々は2000年春に国内最大規模であるインターネットテクノロジーファンドを設定し、1500億円集めて投資した結果、昨年はIPOで15社、M&Aで5社など成功させた実績がある。このファンドの投資は6月に終わって現在は回収期に入っており、今後ユビキタス社会へ向かう中で新たなブロードバンドファンドを立ち上げようと考えていた」とし、20%以上の投資リターンを目標にして、このほかにもいくつかファンドを設定する構えだ。

 今回のファンド設立にあたり、ニッポン放送が保有していたフジテレビ株は、株券消費貸借によって2010年4月1日まですべてSBIが借り受けることになり、フジテレビの筆頭株主にSBIが躍り出た(関連記事)。これについて北尾氏は「このファンドはお金を出したら終わりというものではなく、ベンチャー企業に技術やノウハウなどもアドバイスして育成していく。インターネット関連だったら我々だけでできるが、放送に関してはよくわからない。そのため、投資先の発掘や支援などで2社に協力を依頼した」とまず説明し、SBIから話を持ちかけたことを明らかにした。ファンドを設立するにあたってはさまざまな事業会社をまわり、日本テレビにも声をかけたそうだ。

 そして、筆頭株主になったことについては「一緒に組んでいく中でより密接な関係を築くために株の持ち合いや資本提携をするのはオーソドックスな手法だ」としたうえで、「ただし、実際に資金を動かすとなるとニッポン放送は(ライブドアとの問題がある時期なので)環境的にも税務的にも大変だし、フジテレビにしてもガバナンス(企業統治)の安定に注力する現状では難しい。その結果、株券消費貸借という形を採ることで合意した」と語り、「フジテレビへの買収圧力に対する防衛策ではない」「ホワイトナイトを買って出ることはない」「ライブドア問題の当事者になったつもりはない」「差し出がましいことをするつもりはない」など、何度もライブドアとの問題によってファンドを設立したわけではないことを主張した。(次ページへ続く

SBIビービー・メディアファンド設立の仕組み

ファンドは年率20%超の利回りを目指す

SBIが筆頭株主になった背景

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