サンフランシスコ市、携帯電話SAR開示条例を無期延期

Kent German (CNET News) 翻訳校正: 編集部2011年05月09日 15時10分

 サンフランシスコ市当局は、小売店が店頭にて携帯電話機の比吸収率(SAR)を表示し、携帯電話の電磁波に関する資料を消費者に配布しなくてはならないという、同市の情報開示条例の実施を無期限に延期するとした。この条例に代わる法律の制定が見込まれてはいるが、詳細は発表されていない。

 この条例は2010年6月に可決されたが、その後すぐにワイヤレス業界のロビー活動団体である米セルラー通信工業会(CTIA)が提訴した。CTIAの主張は、米連邦通信委員会(FCC)と米食品医薬品局(FDA)のみが電磁波の放射を管理する立場にあることからこの条例が違法であるということ、また、SARの表示は消費者の誤解を招く恐れがあること、さらにはこの条例が米憲法修正第1条で保証された小売店の言論の自由を侵害するというものだ。

 この訴訟を受け、サンフランシスコ市管理委員会は条例実施の日程を何度も延期した。最新の実施日程は6月15日となっていたが、市検事Dennis Herrera氏の事務所にてこの件に関する非公開のミーティングが2回開催されていた。管理委員は米CNETに対し、ミーティングで何があったのか明らかにしなかったほか、CTIAの訴訟に敗訴した場合、市が訴訟費用に行き詰まるだろうというCTIAからの警告に対してもコメントしなかった。

 しかし、同市は完全に引き下がっているわけではない。2010年に法案に投票した管理委員のJohn Avalos氏は、早ければ今週にも修正法案を策定するとしている。Avalos氏の立法補佐官の1人であるFrances Hsieh氏は、詳細こそ明らかにしていないが、修正法案にはSARの表示に関する条項は含まれないだろうとした。

 Hsieh氏は、「われわれは市長執務室や市検事事務所、また権利擁護団体と詳細を詰めているところだ。修正法案は堅実なものにして発表したいと考えている」と述べた。

 環境健康トラスト(Environmental Health Trust)で政府関連および公共事業担当ディレクターを務めるEllen Marks氏は、元の法案を支持している。同氏は、SARの表示に関する条項が法案から削除されることについては構わないとしながらも、修正法案は電磁波警告ラベルを携帯電話と製品包装につけるべきだというカリフォルニア州上院にて議論中の新法案に似たものであってほしいとしている。

 Marks氏は米CNETに対し、条例は「一時的に保留されているだけだ」と述べた。「市はこのつまらない訴訟に立ち向かい、修正案の策定を進めていくに違いない」(Marks氏)

 CTIAは、現時点でサンフランシスコ市の決定について何も言うことはないとメールにてコメントした。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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