ゲイツ財団、経済危機にも支出は拡大--B・ゲイツ氏の公開書簡

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、小林理子2009年01月27日 13時42分

 Bill Gates氏は米国時間1月26日、教育の質を高め、世界の健康問題と戦うことを目的とした同氏の財団の取り組みと、経済の状況について考察した公開書簡を発表した。

 経済については、2年後に現在を振り返ったときに、この危機が「すでに過ぎ去った短い間のできごと」だったと言えるようになることを期待しているとGates氏は述べたものの、「危機の影響はその後も続く」と予測している。

 今回の経済的苦境は、同氏の財団であるBill & Melinda Gates Foundationにも影響を及ぼし、財団の資産は2008年の資産に比べて5分の1減少したとGates氏は書簡(PDF文書)の中で述べている。しかし、財団は2009年の支出額を2008年の33億ドルから38億ドルに増やす計画だ。この額は、財団の資産全体の7%にもなる(米国税庁の定めにより、米国にある財団は資産の5%を毎年支出しなければならない)。

 「世界的な不況と市場の混乱により、誰もが計画の見直しを余儀なくされている。企業も消費者も支出を減らしている。50年にわたる信用の拡大は、とくに米国において消費を大きく刺激したが、今では信用の収縮に変わってしまった」とGates氏は書簡の中で述べている。

 このために、政府は、予算が不足する中で政府サービスの拡大をさらに求められるという事態に陥っていると、Gates氏は指摘する。

 Gates氏が今後年次書簡となるとしている今回の書簡は、同氏が財団により多くの時間を費やすためとしてMicrosoftの常勤職を辞してから、およそ半年後の発表ということになる。この書簡では、世界の健康と教育の両方に対する財団の取り組みについても詳しく述べられており、両分野における成功例と失敗例が示されている。

 Gates氏はBarack Obama政権について、税収が不足し、短期的な経済刺激策が求められる中で、教育への貢献を維持しているとして賞賛しているが、同時に対外援助の継続も訴えている。

 「米国を始めとする豊かな国々が引き続き支援を拡大することをわたしは期待しており、政治指導者と会う機会には、支援の拡大を促している」とGates氏は述べた上で、英国のTony Blair前首相とGordon Brown首相をとくに賞賛した。

 Gates氏にとっては、1月28日からスイスのダボスで開かれる世界経済フォーラムが、世界の政治指導者たちに呼びかける機会となる。ダボスには、Blair氏の後を継いだ英国のBrown首相、中国の温家宝首相、ロシアのVladimir Putin首相、ドイツのAngela Merkel首相、日本の麻生太郎首相といった政治指導者が姿を見せる予定だ。

 「この危機の最中に、支援に関する話題を新聞の一面に飾らせるのは難しいだろう。しかし、われわれは成功事例を語ることを怠らず、不公平が目に見えなくなったからといって関心の外に追い出してしまわないように心に刻みつけて、この困難に立ち向かわなければならない」とGates氏は記している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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