米国土安全保障省、新IDカードプログラムの最終規則案を発表

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2008年01月15日 17時59分

 このままBush政権の思い通りにさせておくと、全ての米国民は2017年までにReal ID Actに準拠した身分証明書類の提示を義務付けられ、提示しない場合は空港や政府関連施設で「不都合」を強いられることなる。

 米国土安全保障省(DHS)のMichael Chertoff長官は米国時間1月11日、論議を呼んでいる新IDカードプログラムに関する最終規則案の概要を淡々と説明した。その中でChertoff長官は、同プログラムへの批判に反論するとともに、「国土安全保障と個人のプライバシーに関する懸念という2つの問題に対応する、より安全な身分証明書」と自ら語る新IDカードを弁護することを誓った。

 Chertoff氏は、日中に開かれた記者会見の中で、間もなく導入されるIDカードに「落胆」するのは、(テロリスト、不法移民、詐欺師の)3種類の人々だけだと語った。

 国土安全保障省は11日、およそ300ページに及ぶ各州向けのガイドラインを発表した。同省はこのガイドラインを作成するために、2007年3月から規則の草案に対して寄せられたおよそ2万1000件の意見を検討してきた。

 Real ID Actは、米同時多発テロ独立調査委員会(911委員会)の勧告を受け、議会が2005年に緊急予算案の一部として可決した。Chertoff氏は11日、同プログラムが必要である1つの理由として、同時多発テロを引き起こしたハイジャック犯の1人を除いた全員が政府発行の身分証明書を所持していたこと、そして、それらの証明書が彼らの不法滞在に役立ったことを改めて指摘した。また同プログラムのもう1つの目的は、不法移民が「米国民を装い、国内で違法に労働する」ことを阻止することにある。

 そしてこの目的を達成するため、新規則案の下では、各自動車局は運転免許証の申請手続きの最初に申請者の写真を撮影し、それらの写真を5年間保存することが義務付けられる。これは、身分証を偽造した(そして、自動車局の職員を騙してカードを発行させることに失敗した)申請者が、再度同じ行為を試みた時に捕らえられるようにするためだ。

 しかし、この最終規則案が10年間の実施プロセスの間、持続可能か否かは今のところ不透明だ。議会の有力民主党議員らは、この最終案を早速攻撃した。

 下院国土安全保障委員会の委員長を務めるBennie Thompson下院議員(ミシシッピ州選出、民主党)は11日に送付した書簡の中で次のように述べている。「国家の安全を確保する上で、911委員会の勧告内容の実行は必要不可欠だが、最終規則案については、国土安全保障省はさらに多くの研究を重ねる必要があると思われる」

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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