SaaSや利用シーンに合わせたサービスを展開--ISP事業からの脱却ねらうBIGLOBE

岩本有平(編集部)2007年11月27日 15時03分

 NECビッグローブ(BIGLOBE)は11月27日、代表取締役執行役員社長の飯塚久夫氏が就任して初めてとなる事業戦略説明会を実施し、同社が今後めざす方向性や投資戦略について語った。

 BIGLOBEは現在、ISP事業とブロードバンドメディア事業、プラットフォームサービス事業、の3つの柱でのビジネスを展開している。ISP事業は現在、ブロードバンド全体で170万会員。うちFTTHユーザーについては2007年7月時点で100万会員を達成しており、FTTHのシェア10.5%で第2位(2007年9月時点)を誇る。12月13日からは日本初となるHSDPAによるMVNOサービスも予定しており、初年度1万ユーザーを目指すほか、WiMAXにも積極的な姿勢を見せている。

 またブロードバンドメディア事業では、視聴登録者数820万という「BIGLOBEストリーム」を始め、旅行情報サイト「BIGLOBEトラベル」のほか、モバイル向けのサービスも強化しており、250以上の公式サイトも手がけている。

 プラットフォームサービス事業では、テレビ局など、大量のトラフィックを想定した企業に対し映像配信やモバイル向けの歩ラットフォームを提供しているほか、NECからの分社化後は、株主各社と連携してサービス構築や広告サービスの展開なども行っている。

説明 NECビッグローブ代表取締役執行役員社長の飯塚久夫氏

 BIGLOBEの総会員数は約1875万。このほとんどは無料会員ではあるが、「このポテンシャルをどう生かすかが今後の課題」と代表取締役執行役員社長の飯塚久夫氏は語る。同社ではその答えとして、同社のシステム基盤やノウハウといった資産(アセット)を活用した事業に注力を置く「BIGLOBE Assets as a Service」というコンセプトを掲げる。

 BIGLOBEは今後、(1)生活シーンに応じて利用するモバイル端末やPCをはじめとしたデバイス(アプライアンス)を連携させ、シーンに合わせた情報を提供する「クロスアプライアンス」、(2)CGMコンテンツや動画、モバイル向けサービスなどポータルサイト上での「ユニークなサービスの創出」、(3)10月に発表したアドビシステムズとの文書管理サービスでの提携と同様に、パートナー企業との連携による「SaaS」の展開--この3点に注力して既存事業の拡大を目指す。

 飯塚氏はその戦略を進めるために、膨大なトラフィックにも対応するためのグリッドコンピューティング技術、8000台を超えるサーバの経済的で安定した運用を図るための仮想ストレージ技術などを導入していると説明。さらに、次世代ネットワーク(NGN)については、通信キャリアにAPIを公開することで、連携したサービス提供プラットフォームを提供するほか、NGNを活用した各種のサービスも提供していく考えだとした。また、アドビシステムズのAIRを例に挙げ「OSやブラウザに制限されないサービスの提供」についても示唆した。

 同社は10月にベンチャー投資のための新会社「BIGLOBEキャピタル」を設立し、総額30億円となるファンドを組んでいるが、これについて飯塚氏は「いわゆるキャピタルゲイン目的ではない。新サービスの相乗効果創出、ポータルサイトの新しい価値創造に向けたもの」と説明する。投資のほかにも、提携やM&Aなども視野に入れているという。

 現在、同社の売上高の割合はISP事業が57%、アセット活用事業が43%となっている。飯塚氏はこれを2010年までにアセット活用事業の割合を60%程度に増やした上で売上高1000億円を目指すとしている。また、既存事業の成長に加えて、モバイル分野など事業ドメインの拡大も視野にいれる。

成長戦略 新たな事業ドメインの展開についても視野に入れた同社の成長戦略

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