運と機会を味方に「1人でも企業を変えられる」--出井氏が贈る起業家へのメッセージ - (page 2)

尾本香里(編集部)2007年08月01日 08時00分

――Vieux氏:過去10〜12カ月でたくさんのことを学ばれたと思います。この中で、ソニーにいた頃に知っておきたかったことはありますか。

出井氏:答えはイエスでもあり、ノーでもあります。

 大企業には時間をかけて蓄積してきたものがたくさんあります。ものというのは、物理的な「物」ではなくて、文化的なものとか、エンジニアの気質などを指します。

 イチローにゴルファーになれとは言えません。同じことが大企業にもあてはまります。ソニーはAppleになれませんし、Appleもソニーになれません。違う文化、異なるスキルセットをもった人の集まりだからです。

 ジョイントベンチャーをつくり、他のカルチャーを取り入れたりしない限り、大企業にとって、変革することはとても難しいです。

 ソニーのルールブレークの歴史を振り返ってみましょう。ソニーは、Sony MusicとSony CorporationのジョイントベンチャーであるSony Computer Entertainmentで成功を収めました。また、6年間で、業界4位の地位に浮上したSony EricssonもEricssonとソニーのジョイントベンチャーです。

――Vieux氏:先日、ウォールストリート・ジャーナルに面白い記事が載っていました。Googleは今や大企業になってしまい、イノベーションの速度が落ちているというのです。アイデアを作るのに承認が1つ必要で、アイデアを実行しようと思えば承認が2つ、そしてお金を使おうと思ったら承認が3つ必要だというのです。企業の規模が、成長を阻害すると思いますか?

出井氏:従業員数は大きな問題ではありません。しかし、過大評価されている会社はときとしては自らのアイデンティティを忘れてしまうことがあると思います。

 あなたがGoogleのCEOだったとしましょう。あなたは、いつも市場からの期待、つまりは時価総額を気にかけることでしょう。今や、Googleの時価総額の方がトヨタ自動車より高いくらいですから、それに見合う売り上げを上げて、時価総額をいかに正当化するかを意識しなければなりません。

 Googleは非常に難しい局面を迎えていると思います。

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