人間対コンピュータのポーカー対決、勝者は人間

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2007年07月26日 16時50分

 人間対コンピュータのポーカー対決の結果は、人間2勝、コンピュータ1勝、引き分け1となった。

 プロポーカー選手のPhil Laak氏とAli Esmali氏は米国時間7月24日、コンピュータプログラム「Polaris」を相手にポーカー試合をした。Polarisは、カナダのアルバータ大学で26年がかりで開発されたものだ。この試合は、カナダ・バンクーバーで開催された「American Association for the Advancement of Artificial Intelligence(AAAI)」で行われたもので、人間が参加した最初の科学的試合の1つとなる。

 結果は、500ハンドの第1試合では、PolarisはLaak氏とEsmali氏を破った。第2試合は引き分けで、第3試合と第4試合は敗れた。Laak氏とEsmali氏は賞金2万ドルをそれぞれ獲得、このうち5000ドルは科学的試合でプレーしたことへの謝礼金という。

 「とてもやりがいがあったし、これまでと比べてはるかに洗練されていた」とEsmali氏(30歳)はインタビューでコメントした。「前バージョンは、すきがあったので楽に戦略を合わせて打ち負かすことができた。今回、Polarisはいろんな戦略を使い分けてきた」。

 米ロサンゼルス在住のEsmali氏は、この試合に参加した理由は両氏にとって賞金ではなく、AI(人工知能)分野の前進を助けるためだと述べた。「この技術は共同で解決するような問題に適用できるということを社会に意味している。だから、このアドベンチャーのはじまりにいると思うとわくわくする」とEsmali氏は語った。

 アルバータ大学コンピュータ科学学部教授のJonathan Schaeffer氏は、1991年よりPolaris開発にかかわってきた。Schaeffer氏にしてみれば、この試合は自分たちのチームにとっても勝ちを意味する。

 「コンピュータプログラムが強い人間の選手を相手にプレーして勝った初の事例となる。そしてこれは、われわれの見解では、われわれとAIにとって重要なマイルストーンとなる」とSchaeffer氏は言う。そして、「だが、世界チャンピオンに勝つためには、先は長い」と続けた。

 アルバータ大学チームは、AI研究にあたってチェスではなくポーカーを選んだ。この理由について、Schaeffer氏は、ポーカーは人間の生活のように不完全な情報に基づくゲームだからだ、と説明する。つまり、プレーヤーは相手がどんなカードを持っているのか分からないので、運とスキルのゲームといえる。

 人間対コンピュータのポーカー試合は、各選手が同じカードを裏返しして持つことで、運の要素を排除した。つまり、コンピュータがエース2枚で戦っていれば場合、Laak氏はエース2枚を持っていれば運があるが、Esmali氏は不運となる。勝者を決めるため、審判が人間2人のスコアとコンピュータのスコアに別々にスコアを付加し、スコアが最も高かったものが勝者となった。

 アルバータ大学チームは負けた。だが、Laak氏とEsmali氏にとってこの試合は楽勝ではなかったという事実から、チームは勇気付けられたはずだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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