ブッシュ政権、取材源保護法案に反対の姿勢

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、吉武稔夫、長谷睦2007年06月15日 22時27分

 ワシントン発--一部のブロガーを含め、ニュースの収集に携わる広範囲の人々に取材源の秘匿を認める新たな法案が、米連邦議会に提案されている。これに対し、Bush政権は米国時間6月14日に反対の姿勢を明らかにした。

 米司法省の担当官は連邦議会に対し、「Free Flow of Information Act」と呼ばれるこの法案の最新草案は、保護される国民の範囲が広すぎるため、国家の安全保障や連邦当局の犯罪捜査にとって重大な脅威になると、懸念を表明した。

 司法省の法政策局で総局長補佐を務めるRachel Brand氏は、下院司法委員会の公聴会で発言し、「定義があまりにも広すぎるため、ウェブ上に何かを投稿したいと思っている人はすべて含まれてしまう」と述べた。同氏はさらに、この法案が成立すれば、「米国民を攻撃すると脅すテロ主導者からのメッセージをビデオで撮影した工作員」も保護の対象になりかねないと主張した。

 近年、連邦議会は取材源を保護する連邦法(いわゆる「シールド法)を成立させようと繰り返し試みてきたが、司法省の反対に苦しめられてきた。法案の支持者は、New York Times紙のJudith Miller記者に関する有名な事件や、記者に対する召喚状の発行がここ数年で急増しているという、報道の自由の擁護団体による指摘などを考えると、このような法律が必要だと主張する。

 49の州とコロンビア特別区(通称ワシントンDC)では、すでに州法によって、何らかの形で「記者の特権」が認められている。しかし重要なのは、そういった法律が連邦検察当局からジャーナリストを守ることはないという点だ。Bush政権は、記者を対象とした取材源に関連する召喚状の発行が増えている証拠はないと主張し、そのような召喚状を発行する場合にも、司法長官自身が承認し、報道の自由と捜査上の要求との適切なバランスを図ることを求めるなど、厳格な内規がすでに存在するとしている。

 Free Flow of Information Actの2007年版草案は、すでに上下両院に提出されており、保護の対象とする人の範囲をこれまでより広げることを提案している。この法案は、ジャーナリズムに関わるあらゆる人を対象としており、ジャーナリズムを「地域、国内、および国外で起こった出来事、および公衆の興味が集まる問題に関するニュースや情報を広く一般に知らせることを目的に、取材、整理、収集し、写真や音声として記録し、執筆、編集、報道、公開すること」と定義している。

 ただし、保護の対象となっている人でも、一定の条件が揃えば取材源を明らかにしなければならない。たとえば、犯罪行為があったことが明白な場合、国家の安全保障を「直ちに損なう恐れがあるか、実際に損なっている」場合、あるいは、現行の法律に反して、企業秘密、非公開の個人情報、医療記録などが漏洩されている場合などだ。

 およそ3時間におよんだ公聴会は、既存の大手メディアが、インターネットを基盤とする新興メディアと同じ領域に入り込み、衝突する中で高まっている緊張を、再び浮き彫りにするものとなった。

 公聴会の中では、共和党、民主党を問わず、各議員からこの法案を拡大してブロガーも対象に含めるべきかどうかという疑問が何度か投げかけられた。一部の議員は、オンラインに情報を掲示することは非常に簡単なので、機密情報を漏らした人もこの法案を盾に罪を免れることになりかねないとして、怒りを表明した。

 Brad Sherman下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、「あえて言うなら、訴えられたくないと思う人はただちにブログを立ち上げ、自分はジャーナリストだから保護を得られるはずだと主張すべきだ」とまで述べ、この定義の見直しを求めて同意見の議員たちと共に活動したいと付け加えた。

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