さらにVaitheeswaran氏は、こうした取り組みを続けながら、昔ながらの燃焼型エンジンの効率を高める方法を考え出すのもいい方法だとし、「効率を高めること自体が代替燃料なのだ」と述べた。トヨタ自動車の「プリウス」のようなハイブリッド車は、こうした考え方に沿った最初のステップとして上出来だが、まだ走行時間の大部分をガソリンに依存しているため、根本的な解決にはなっていないとVaitheeswaran氏は指摘した。
また、パネリストや講演者には、完全な電気自動車を作るという考えを支持した人もいた。その理由は1つには、ガソリンエンジンよりはるかに効率がよいからだとLewis氏は言う。また、未来のエネルギー源がなんであっても関係がないという利点もあると、自動車メーカーTesla Motorsの最高経営責任者(CEO)であるMartin Eberhard氏は言う。電気自動車は、利用する電気がガスを燃焼して生みだされたものか、太陽熱発電によるのか、あるいは原子力によるのかには左右されないというわけだ。
「エネルギーを電気として保存できれば、エネルギー源が何かという問題は完全に切り離すことができる」とEberhard氏は述べた。それに比べてガソリン自動車は、そもそも無鉛ガソリンかディーゼル燃料かだけで動くように作られているため、ドライバーが車を動かす際に他の選択肢はない。
Tesla Motorsは自社の車「Roadster」を人々に知らせるために精力的に走らせてまわっており、23日には、会場のHotel Del Coronado前の芝生にもRoadsterを止めて展示していた。Roadsterは完全な電気自動車で、一般家庭のコンセントから電気を充電し、リチウムイオンバッテリに貯めておく。「実際に使用可能な電気自動車を生産する技術を持ち、その自動車を求める人たちがいることを証明すれば、状況は変えられる」と、Tesla Motorsの会長であるElon Musk氏は言う。24日には、シリコンバレーを訪問中のCondoleeza Rice国務長官もこのRoadsterを見に訪れた。
そのほか、既存の自動車エンジンを改良することに精力を傾けている企業もある。たとえば、Martin Tobias氏が設立したImperium Renewablesは、「ガソリン代わりに利用でき、プラグ&プレイ方式でエンジンをかけたまま交換可能な炭化水素」の精製技術を開発しようと試みている。
バイオディーゼル燃料エンジンは、既存のディーゼルエンジンを活用し、とうもろこし、パーム油などの植物から抽出したクリーンな燃料で動かすことができるため、比較的簡単な方法として支持する人が増えている。問題は、政府の推進するエタノールがこれといった成果を上げていないことだ。また、穀物が燃料ビジネスの中心になると、食糧供給との間でせめぎ合いが起きる危険性を懸念する声もある。
現在ではまた、遺伝子工学を活用して、燃料に利用できる成分が食用の植物より多く含まれる植物や、わずかな面積で大きなエネルギーを生成できる種類の藻を作り出そうとする動きも進んでいる。22日の夜に開会の基調講演で演説したJ. Craig Venter氏も、燃料源として利用できる藻と微生物の開発を研究していると語った。
こうしたアイデアはどれもまだ比較的初期の段階だが、その勢いは拡大している。インドや中国といった国々が先進国世界と同じレベルでエネルギーを消費しはじめ、自動車の利用が急速に増えている今、こうした取り組みを続ける以外に道はないようだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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