エレクトロニック・アーツ、第4四半期決算で損失を計上

文:Tor Thorsen(GameSpot) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子2007年05月10日 21時24分

 米市場調査会社のNPD Groupによると、1月から3月までの期間は米国のゲーム業界にとって総合的に活況をおびた時期だったという。しかしながら同業界で最大のサードパーティーパブリッシャーであるElectronic Arts(EA)は米国時間5月8日、2007会計年度第4四半期(2007年3月31日締め)の決算を発表し、損失が膨らんだことを明らかにしている。

 この第4四半期決算でEAは2500万ドルの損失を計上したが、これは前年同期の損失額1600万ドルよりも大きくなっている。売上高は6億1300万ドルで、前年同期の6億4100万ドルから4%減少した。同社は声明で損失が膨らんだことに対して「主に次世代システムへの転換のため」と説明している。また、「税引き後の株式報酬費用」のために2400万ドルの一時金を計上したことも一因と述べた。

 EAが同四半期に行った主要なリリースは数少ないが、発売したものに関して売り上げは好調だった。「The Sims 2: Seasons」拡張パックは世界中で100万本以上の販売を記録し、「Burnout Dominator」および「DEF JAM: ICON」もそれぞれ50万本と売り上げを牽引した。アナリストとの電話会見で、EAの最高財務責任者(CFO)であるWarren Jenson氏は、販売数には言及しなかったものの、「Command & Conquer 3: Tiberium Wars」は同シリーズの「再発進として成功」だったと述べた。NPDの資料によれば、同ゲームは米国でPC版を12万8000本以上を販売しており、「Xbox 360」版も8日に発売された。

 損失額2500万ドルといえば多くの企業にとって相当の額だが、EAの年間売り上げからみると小さくみえる。2007年3月31日締めの2007会計年度通期で、EAは売上高を30億9000万ドル計上しており、これは前年通期の29億5000万ドルから5%増加している。

 しかし実質的に同社が通期で計上した粗利益18億8000万ドルはすべて支出で帳消しにされている。EAは株式報酬費用として通期で1億700万ドルを費やしたほか、独立系開発企業Mythic EntertainmentおよびHeadgate Studiosや「Battlefield」の開発企業であるDigital Illusions CE(DICE)の買収費用も要した。

 年間を通じてEAの最も売れたゲームが「Madden NFL 07」だったのは当然のことだといえる。3月末時点で、同ゲームは米国で11種類のゲーム機用に15%増の710万本以上が売れた。米国外ではフットボールとも呼ばれるサッカーのゲームでも、EAはFIFAとのサッカーライセンスを結び「FIFA 07」「FIFA Street 2」「2006 FIFA World Cup」などの作品が世界中で翻訳され1300万本を販売した。結果として、EA Sportsレーベルの売り上げが年間で20%以上増加したとJenson氏は述べている。

 通期としてEAで2番目に売れたゲームは「Need for Speed Carbon」で、850万本以上が世界で売れたとJenson氏は説明した。次は「The Sims 2 Pets」の通期の販売本数560万本、そして「The Sims 2」の390万本だった。とはいえ、Jenson氏によれば、Simsシリーズ全体の販売数に及ぶものはなく、同シリーズの通期の総販売数は2200万本にのぼったという。

 先行きとしてEAは、2008会計年度(2008年3月31日締め)通期の売上高を31億ドルから34億ドルと予想している。これから発売が予定されている主要作品は「Medal of Honor Airborne」「Army of Two」「Boogie」「MySims」「Battlefield: Bad Company」「SKATE」そして「Need for Speed」シリーズおよび「Madden」シリーズの次回作となる。6月30日締めとなる現四半期には3億ドルから3億6000万ドルの売上高を見込んでいる。

 決算発表後のEAの株価は時間外取引で2.6%下落し、取引終了時点の52.94ドルから1.39ドル安となっている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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