マッスルカーをエコカーに--環境にやさしい車に改造する新ビジネス登場 - (page 2)

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、佐藤卓、小林理子2007年04月11日 10時19分

 「そんなことをしたら問い合わせが殺到する。だが、もうそう長いこと隠れてはいられないようだ」とGoodwin氏は語った。

 ガソリン車からディーゼル車への改造は、たとえて言えば、自動車の心臓移植のようなものだ。ガソリンエンジンと元からあるトランスミッションは取り除かれ、代わりに、「Chevrolet」シリーズのトラックによく搭載されている「Duramax」ディーゼルエンジンとAllison Transmission製のトランスミッションが組み込まれる。

 Hummerでは車自体を改造する必要はほとんどないが、Impalaでは中仕切り部分を広げる必要があった。しかし、最終的には、ツーシーターのLamborghiniとちがい、4人以上の乗車定員が確保されている。

 ガソリン車からディーゼル車に改造することによって、Hummerの燃費は1ガロンあたり10マイル(1リットルあたり約4.25km)だったのが、22〜24マイル(約9.35〜10.20km)に向上した。また、馬力も標準タイプのHummerでおよそ325馬力から650馬力に増加し、エンジン出力が大幅に向上した。

 性能が向上したのは、ディーゼルエンジンが元々持っている特性のおかげでもある。一般的に、ディーゼルエンジンは、物体にかかる回転力、つまりこの場合は車のクランクシャフトにかかる回転力であるトルクの値を、ガソリンエンジンより大きくすることができる。500馬力のガソリンエンジンは、600ポンド重フィート(約813Nm)のトルクを生み出すことができるが、同じようなディーゼルエンジンならば、800〜900ポンド重フィート(約1085〜1220Nm)のトルクを生み出すことが可能だ。

 1965年型のImpalaに搭載されたエンジンは850馬力で、1200ポンド重フィート(約1627Nm)のトルクを生み出す。このImpalaが選ばれたのは、1960年代半ばに生産された他のマッスルカーに比べ、構造がしっかりしているからだ。

 「トルクは重要なポイントだ」とGoodwin氏は言う。

 燃費の向上だけを考えても、Hummerは改造前と比べて環境にやさしい車になっている。しかし、地中の炭化水素から作られるディーゼル燃料を使わずに、植物油から作られるバイオディーゼル燃料で車を走らせれば、排出物質をさらに減らすことができる。改造車はどちらも利用できるが、バイオディーゼル燃料を使用した方が、大気中に放出する二酸化炭素の量も他の汚染物質もはるかに少なくなる。なお、ディーゼル車は使用済み植物油で走らせることもできるが、通常は、単純に揚げ鍋に満たして注ぎ込めばいいというわけにはいかず、その前に加工する必要がある。

 消費者のなかには、コストの点からディーゼル車への改造に注目する人々もいる。前述の宅配業者がディーゼル車から天然ガス車への移行を考えているのも、燃料費がはるかに安く済むためだ。「燃料の消費量を5%減らせるだけでもかなり大きい」とGoodwin氏は指摘する。

 しかし、ほとんどの消費者にとっては、ステータスと目新しさが関心を持つきっかけのようだ。というのも、この改造作業にはおよそ1週間かかり、費用は2万4千ドルほどになる。ガソリンが1ガロンあたり3ドル(1リットルあたり約0.79ドル)で売られているとすれば、14万マイル(約22万5300km)走らなければ元が取れない。

 それでも、環境にやさしいHummerの理想は徐々に浸透している。ほかにもバイオディーゼル車への改造を取材しよう考えたテレビ局があるが、Hummerにスポットを当てるのは気が進まなかった。予想されるクレームを避けるため、「Cadillac Escalade」を改造する予定だという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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