国際共同科学プロジェクト開始--極地方の研究を目指す - (page 2)

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2007年03月05日 15時13分

 IPYの使命の1つは、スプートニクが多くの科学者を勇気づけ、人々に地球の新たな写真をもたらしたように、人々の関心を科学に向けることにある。特に米国の科学者らは、科学に関する人々の関心や才能が衰えつつある現状を危ぐし、IPYに関連する教育カリキュラムの策定を熱望している。米航空宇宙局(NASA)の科学研究に対する政府の財政支援もここ数年減少傾向にある。Bush政権が、人類を再び月に送り、その後に火星に送る計画を優先しているためだ。

 米郵政公社は、IPYに対する国民の関心を高める取り組みの一環として、初のIPYの記念切手を発行した。この切手は、国際郵便用の84セントの切手で、米国以外にもデンマーク、フィンランド、グリーンランド、スウェーデンなど8カ国が同様の切手を発行する予定だ。米国は1958年にも3セントのIGY記念切手を発行している。

 またIPYでは、極地における人間系に関する科学研究、科学的未開拓分野の探求、さらに氷、大気、海の学際的観測ネットワークの構築にも重点が置かれている。

 例えば、この数週間に、NASAの衛星を利用している科学者らが、南極のある氷河流の下に、複数の湖や水路で構成される大規模なネットワークが存在することを発見したと発表した。この発見により、そのシステムからの「水漏れ」が海水位にいかに影響を与えるかが分かる。南極には、地球上の氷のおよそ9割、淡水の7割が集中していることから、これらのシステムは、海水位に大きな影響を与える可能性がある。スクリップス海洋学研究所(SIO)の科学者らは、NASAの高感度衛星を使って集めたデータからこの複数の水路を発見した。この衛星は、氷床の下の複数の水路の3D画像の撮影や、氷床表面の上昇度合の変化の測定が可能だ。

 氷床の変化の仕方や、その海水位への影響の仕方を理解することも、IPYの主目的の1つだ。

 米商務省の海洋および大気担当次官で、米国海洋大気庁(NOAA)の長官を務めるConrad Lautenbacher氏は、「このIPYの結果、2007年に限らず、今後も永続的に利用可能な、氷、氷圏、大気、海の常設観測所が設置されることを望む」と語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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