デジタルIDカードの導入義務化に米国各州で反発の声

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年02月27日 17時44分

 ニューハンプシャー州コンコルド発--導入が間近に迫ったナショナルIDカードは、テロ攻撃の阻止にはほとんど効果がなく、逆に米国民のプライバシーが危険にさらされる。当地で開催されたLiberty Forumカンファレンスで、発言者らが警告を発した。

 DownsizeDC.orgの社長であるJim Babka氏は同カンファレンスの中で、デジタルIDカードの導入が義務化されれば、(IDカードに関する)連邦規則の複雑さや、規則の遵守にかかるコストについて懸念する各州の反発を招く可能性が高いと語った。米国では、2008年5月から各州にデジタルIDカードの導入が義務付けられる予定である。

 「総額110億ドルの税金が使われ、各州が負担する平均コストは2億ドルに上る」とBabka氏は指摘する。同氏が率いるDownsizeDC.orgは、連邦政府の抑制を目指す「政党横断的な」活動機関を自称している。

 2005年に制定された「Real ID Act」は、州政府が発行した自動車運転免許証やその他のID文書は、米国土安全保障省(DHS)が作成した厳格な規則を遵守しなければならないと述べている。現在、複数の州議会で、国民のIDを連邦政府の管理下に置く案に反対すべきか否かが議論されている。メーン州議会では1月に、この件に関する採決が行われた。

 米国では、デジタルIDカードの義務化に反対し、(コストを懸念する)自動車担当の州当局者の一部と、(ナショナルIDカード導入の可能性を懸念する)プライバシー活動家らが手を組むという異常な展開を見せている。これまで数人の連邦議会議員がReal ID Actの発効延期または廃止を提案してきたが、Bush政権の高官らは、ID規則はテロ対策として必要であるとの姿勢を崩さなかった。またBush政権は、ID規則の導入は不法移民の抑制策にもなると考えてきた。

 「全米各州では、議員らがReal ID Actの改革に乗り出している」と語るのは、Cato Instituteの情報政策研究担当ディレクターで、DHSの諮問委員会の委員も務めるJim Harper氏

 Harper氏は週末に、Liberty Forumで講演を行った。Liberty Forumは、ニューハンプシャー州に拠点を置くFree State Projectの主催で開催された。Free State Projectは、非常勤の政治家らで構成される同州議会に対し、減税策、プライバシー強化策、政府介入の抑制策の導入を働きかけている(ニューハンプシャー州は、自由主義色の強い州で、Real ID Actに最初に反対したのも同州だった)。

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