スーパーボウルでCMを放映したinfoUSA、「酷評でも注目を集めた成果は上々」

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、小林理子2007年02月06日 22時24分

 米国時間2月4日の「Super Bowl」開催までは、infoUSAという企業は、顧客の名前と電話番号のデータベースをダイレクトマーケティング企業に販売している地味な企業として、おもにセールスマンの間で知られているだけだった。しかし、Super Bowlのテレビ中継で同社の「Salesgenie.com」の製品コマーシャルを放映してからは、普通の人にも社名が知られるようになった。

 コマーシャルは4回放映されたが、試合前のスポンサーとなるのに同社が支払った金額は370万ドルで、これはSalesgenie製品の広告予算の5%から10%にあたる。「大きな賭け」だったとinfoUSAの最高経営責任者(CEO)Monica Messer氏は5日の取材で語った。

 「株式公開企業である以上、株主に対して採算性に関する責任と説明義務がある。この広告は非常に大きなリスクだった」とMesser氏は言う。ネブラスカ州オマハに本拠を置く同社の年間売上高は6億4千万ドルを超える。

 しかし、高い費用をかけただけの効果はあったようだ。「4日の夜にわれわれのウェブサイトを訪れた人の数は3万名を超えた。われわれのサイトへのトラフィック数と製品トライアルへの申し込み数は、この日だけで通常の1カ月分に達した」とMesser氏は言う。「4日の夜は電話が鳴りっぱなしで、5日になっても2100件を越える電話があり、さらにYouTubeでのコマーシャル視聴回数は2万5000ビューにのぼった」とMesser氏は語った。

 ウェブトラフィックを測定するHitwiseによると、Salesgenie.comのウェブサイトの市場シェアは、Super Bowlでコマーシャルを放映してから500%を超えて伸びているという。この伸び率は、Super Bowlのスポンサー企業の中では、King PharmaceuticalsとBudweiserに続いて3番目に高いとのことだ。

 多くの人がコマーシャルを見たのは確かかもしれないが、評判はどうなのだろう?

 「オチがあるのかと思って見ていたけれど、何もなかった。『Saturday Night Live』(米国のテレビコメディ番組)の下手なパロディみたいだ」と、YouTubeの投稿者は書き込んでいる。また、「これは大学のマーケティングクラスの作品なのかな(いや、大学生を侮辱するつもりはないが)。タイトルは『30秒間で200万ドルを失う方法』ってところか。ひどいもんだ」というコメントもある。

 Salesgenie.comの広告は、「USA TODAY」のSuper Bowlコマーシャルランキングでは最下位にランクされた。

 また、雑誌「Advertising Age」のコラムニストBob Garfield氏は、この広告の評価を星2つ(満点は星5つ)とした上で、「あまりにも中味がなく素人っぽい広告で、実際注目はされるだろう。これが本当にSuper Bowlで流れるコマーシャルなのかという意味でだが。まあいい。映画『摩天楼を夢見て』の世界のセールスマンたちは、コマーシャルの出来が悪いからといって製品の評価を下げはしないだろう」と書いている。

 「試合の間中大騒ぎなのだから、視聴者がただ眺めて終わるだけではないコマーシャルを作らなければならない」と述べるのは、同じAdvertising Ageの編集責任者であるMatt Creamer氏だ。同氏はこのSalesgenie.comのコマーシャルを「安っぽい広告」と評している。

 しかし、Messer氏はこのような批判を笑い飛ばす。同氏によると、このコマーシャルは一般大衆の受けを狙って作られたのではなく、狙いを絞ったメッセージを特定のビジネスマンに向けて発信したもので、業界用語でいえば、セールスリードを生みだそうという意図のものだという。「われわれは、問題点を明らかにしてその解決方法を示し、セールスマンにとって関心のある内容を見せたかったのだが、とてもうまくいった」とMesser氏は述べる。同氏は、最低の広告だと評価されたことさえ注目を集めるのに役立ったと付け加えた上で、「たった一晩で9000万人の目を向けさせようとするなら、Super Bowlほど適したメディアはない」と語った。

 この広告は、成功を収め、スポーツカーに乗り回すセールスマンが主人公で、美しい女性と上司からは尊敬を受け、同僚からは会社であくせく働かずにゴルフに出かけることができる身分をうらやましがられるというストーリーだ。

 「このコマーシャルは、成功願望の強い人たちに対して直接的なアプローチをとっている。実際、そういう人たちの共感を呼んだようだ」と、DeWitt Media StrategiesのプレジデントGene DeWitt氏は指摘した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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