「Windows Vista」を広めるマイクロソフトの新戦略

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子2007年01月19日 10時07分

 Microsoftは家中に「Windows Vista」を浸透させたいと考えている。

 期間限定としてMicrosoftが告知しているのは、「Windows Vista Ultimate」エディションのパッケージ版を購入するユーザーを対象に、家庭内のあと2台までのPCに対するライセンス価格を値引きするというものだ。追加のPC1台に対するライセンス料は50ドルとなり、これで購入者は別のPCに「Windows Vista Home Premium」エディションをインストールできる。

 「これは、われわれが『非常に積極的な関心をもつ顧客』と呼ぶ顧客を対象にしている」とWindowsマーケティンググループでディレクターを務めるBill Mannion氏は語った。こういう顧客は1台以上のPCを所有していることが多いのだという。「こうした非常に積極的な関心をもつ顧客が、家庭にある複数のPCをアップグレードしてくれるように打ち出した特化プログラムだ」(Mannion氏)

 同プログラムは米国とカナダでのみ提供され、実施期間はVistaが正式に発売される1月30日から6月30日までとなっている。

 「終了時点で、当プログラムを評価し、変更を行うかどうか決定する予定だ」とMannion氏は語る。

 Appleは何年にもわたり自宅にコンピュータを複数台所有するユーザーに優遇措置をとっている。2002年に同社は、家庭内の最大5台のMacを「Mac OS X」最新版にアップグレードできる製品を199ドルで発売した。Appleはいまでも同価格でファミリーパックを販売しており、この価格はPC1台に対するライセンス価格に70ドル上乗せしただけだ。

 Microsoftはこれまでこうしたプログラムを提供するかどうか考慮を重ねてきた。WindowsチーフのJim Allchin氏は2006年、こうしたファミリーパックは「素晴らしいアイデア」だとCNET News.comに語っていた。

 Microsoftは、Windowsのパッケージ版を購入したユーザーを対象に、追加のPCに対して10%を値引きするというプログラムを現在すでに提供中なのだが、あまりよく知られているとはいえない。このプログラムはVistaでも続行する予定だとMannion氏は語っている。新しいプログラムは、最上位版のVista Ultimateの購入者向けのものであり、Vista Ultimateの価格はアップグレード版で259ドル、新規PC用では399ドルとなっている。

 Microsoftは多くのPCにVistaを浸透させるために、ほかにも新しい方法を取り入れている。その1つは「Anytime Upgrade」と呼ばれるもので、ユーザーが店舗に出かけることなく、OSのバージョンをより上位のバージョンへ簡単に移行できるようにする。

 同社はまた、顧客がAnytime Upgradeを利用するようにコンピュータメーカーや小売店がキャンペーンなどを行うことを認めており、メーカーや小売店の参加に期待を寄せている。宣伝に成功した場合、メーカーや小売店は売上からマージンを受け取ることになる。

 ユーザーが、Vistaに備わっているAnytime Upgrade機能を利用すると、アップグレード版を購入するウェブサイトに誘導される。ユーザーがダウンロードするのはプロダクトキーだけなので、どれを選んでいるのかは明示されない。ソフトウェア自体は、Vista搭載PCのハードドライブもしくはコンピュータに付属するDVD、あるいはWindowsのパッケージ版DVDのいずれかに納められているので、すでにユーザーの手元にはすべてのエディションがある。

 Anytime Upgradeの指示価格は次のようになっている。

  • Home BasicからHome Premiumへアップグレード:79ドル
  • Home BasicからUltimateへアップグレード:199ドル
  • Home PremiumからUltimateへアップグレード:159ドル
  • BusinessからUltimateへアップグレード:139ドル

 Vistaを購入するもう1つの選択肢は、Microsoftのオンラインソフトウェアサイト「Windows Marketplace」から直接ダウンロードすることだ。Microsoftはまず、「Microsoft Office」およびWindows Vistaの新リリースを標準価格でダウンロードできるようにしようとしている(CNET News.comの出版元であるCNET NetworksはWindows Marketplaceの提携企業となっている)。

 Microsoftは新たな手法、特にソフトウェア購入をオンラインにシフトすることによって、消費者と直接結びつこうと務めていると、Mannion氏は述べた。また、IDCの予測によれば、オンラインでダウンロードされるソフトウェアの増加率は2009年までに年間34%だというし、Gartnerは、2008年までにコンシューマーソフトウェアの80%はオンラインで配布されると予測しているのだと、同氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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