マイクロソフトが宣言:「適正な競争」--独占禁止で自主規制 - (page 2)

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年07月20日 13時43分

 しかしながら、米政府が独占禁止法違反についての調査に本腰を入れるようになった9年前から今日まで、Microsoftは多くのことを学んできており、その成果が自主規定に生かされていると、Smith氏は述べた。とりわけ、Microsoftは「ITエコシステムの中でイノベーションを促進し、競争を存続させる特別な責任を負っている」(Smith氏)と認識できたことには、大きな意義があったという。

 Smith氏は、例えばあるPCメーカーがMicrosoftと競合する検索エンジンを利用できるマシンを提供したいと考えた場合、同社はこれを認めていく方針だと話した。Googleは2006年に入り、Windows Vistaの「Internet Explorer 7」に検索用ボックスを搭載するというMicrosoftの計画に懸念を示したが、同氏の発言はそうした懸念に対する直接的な回答と受け取ることができる。

 「取り組みが順調に進めば、ユーザーは初期設定をリセットし、各種の機能を自由に選べるようになる」(Smith氏)

 Smith氏は、こうした柔軟性が確保されることで、Windowsプラットフォーム上でApple Computerの「iTunes」ソフトウェアが大きな人気を博したように、他社が「驚異的な成功」を収める可能性も生まれると述べた。

 Microsoftの自主規定からは、ネットの中立性という大いに物議を醸している問題に対しても、同社が肯定的な姿勢を取っていることがわかる。インターネットの中立性とは、ネットワーク事業者は、特別料金を支払ったウェブコンテンツおよびサービスプロバイダーを優遇する契約を結ぶべきではないという考えを指す。

 Smith氏は、ネットの中立性に対するMicrosoftの方針について、「あらゆる合法ウェブサイトへのアクセスが阻害されたり、非Microsoft系ウェブサイトの閲覧や非Microsoft系Webサービスの使用が有料化されたりすることのないよう、Windowsの設計およびライセンス体系を検討していく」と説明した。

 だがSmith氏は、同社の自主規定が完全に包括的なものであるとは断言していない。例えば、「競争の維持には直接関係しない問題であるととらえている」(Smith氏)ことから、プライバシーやセキュリティについては何ら言及せず、Microsoftは研究開発予算の大部分をセキュリティ分野に割り振っているとだけ述べた。

 Microsoftによる19日の発表に対しては、2名の民主党議員から称賛の声が上がっている。ニューヨーク州のEd Towns下院議員は、同社の自主規定を見て、米国ソフトウェア業界の復調傾向がこれからも続くことを確信したと話した。一方、Microsoftの本拠地であるワシントン州選出の下院議員Jay Inslee氏は、今回公表された自主規定は、「Microsoftに政府規制を遵守する意志があることを示すばかりでなく、技術革新や消費者の選択の自由に貢献する意向をも表している」と評価した。

 だが、Directions on MicrosoftのアナリストMatt Rosoff氏は、同社がこの時期に発表を行ったのは、欧州委員会がMicrosoftへの制裁を発動したことと無関係ではないと考えているという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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