「投資決定には1〜2カ月かけて検討します。流れとしては、まず経営者にプレゼンをしてもらい、それを担当者ベースである程度判断し、案件会議で報告してシェアして、さらに調査します。ビジネス内容、人材、財務状況技術情報を比較していきますが、投資先の99%は赤字で資産がないのが実情です。だから財務状況は重視ではなく、経営者のバックグラウンド、技術面、特許の有無などをヒアリングして検討していきます。そして取締役の就任も条件の1つ。取締役会議に出席し、決議を聞くだけでなく、ともに何が問題で何がしたいか、何が苦しいか、話し合うためです。提携、採用などは経営者の仕事ですが、どういう答えがあるのか、過去の会社経験から情報提供し、きっかけを作るのは我々の仕事です」(金子氏)
投資の意思決定までのコミットメントは1〜2カ月。その間、どこまで信頼関係を築けるか、企業が上場するまでの約5〜7年間に一緒に成功を信じてやっていけるのか、という点がクリティカルなポイントだと金子氏。中でも上場までの7年間を信じられるかが一番重要なポイントだと考えているという。上場するまで最低でも3億円は必要となる。その調達する作業を経営者に使ってほしくないと金子氏は力説した。経営者の仕事だが、資金調達は仕事の一部であってすべてではない。土台作りをしっかりできるような環境を作ることが大切だという。
「いつも気にしているのが、経営陣、市場性、将来的にビジネスが大きくなっていけるかの3つ。具体的に実現する方法を知っているか、どういうプランを描いているか。それがしっくりこないときは、投資をしたいと思うことは少ないです。ネットバブル時代には、さまざまな職種がビジネス参入してきました。チャレンジ自体は悪くないが、市場やお客さんをよく知っている人の方が立ち上がりも早く、市場の変化を嗅ぎ分けられるものです」(金子氏)。
また、金子氏はベンチャーキャピタリストとして企業家に考えてほしいことをいくつか挙げた。まずは「自分のビジネスは何で、どこが強く、どのくらい大きくなるのか」。そして「株より銀行で借りたほうが良くないか、わざわざ投資を受けてまで上場する必要があるのか」。この2点を見極めることが大切だと説く。
「忘れがちですが、重要なポイントがいくつかあります。まず、起業に時間をかけないこと。そして会社を起業すると資金繰りが大変になるが、大切なのは利益を生むことであり、経営者はそのために何をするか知恵を絞って具現的な仕組みを考えることです。資金調達に時間をかけてほしくありません」(金子氏)
金子氏は、資金調達について何度も注意を促し、「お金は誰から集めるかが重要で、決して無色透明ではありません。一緒に仕事をすることで大きく成長することもあるので、誰からお金を集めるかにフォーカスすることが大切」とした。
続いて行われたトークセッションでは、セミナー参加者からの質問を交えて、CNET Japan編集長の西田隆一が両氏に起業とベンチャーに関するさまざまな話題を投げかけていった。
金子氏:六本木、赤坂、本郷の3拠点にオフィスがあり、現在約100社の創業間もないベンチャー企業が利用していて、カオスなオフィスです(笑)。セグメントを切って、いろいろな会社が入っています。
金子氏:講演の中でもお話しましたが「経営陣」、「市場性」、「将来的にビジネスが大きくなっていけるか」という点が投資決定のポイントになります。サーチテリアは、この3つのポイントがパーフェクトにそろっていました。特に事業計画書がすばらしく、リスティング広告のビジネスを知り尽くしていて、具体的なやり方ができており、特許をとっている。そしてこのビジネスが世界に広がってもおかしくない。バランスがとれていたのです。
金子氏:メンバーのモチベーションを上げるには何が必要かといった悩みに対して、ささやかながら支援できればと考えています。たとえば、組織制度を作っていくのは初めての経験だと思いますが、迎えうる課題を乗り越えていくために必要な情報を提供することも、ささやかな動きです。
金子氏:信頼関係が築ける人かどうかです。
金子氏:組織が大きくなる上で重要なのはカルチャーとシステムですが、特に社員の元気ややる気を生み出すカルチャーを作るのに努力しています。カルチャーを昇給や、能力の向上につなげる仕組みを作っていくことが大切だと思います。
中橋氏:まずベンチャーキャピタルを入れるべきかを相談しました。金子さんも投資家ですけど、その頃は僕にとってはクロスコープの大家さんでした。だから気軽に話ができました。最近では、執行役員制度など質問しました。
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