オーシャン・トモ、特許オークション開催 - (page 2)

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、長谷睦2006年04月08日 20時50分

 「140万ドルで決めましょう」とRoss氏は叫び、最後に視線を交わした入札者が競り値を上げたことを会場に告げた。「140万ドルでよろしいですか? よろしいですね?……では140万ドルで落札です」

 この落札劇の少し前のオークションでも、男女それぞれ1人が最後まで残り、激しい入札合戦を繰り広げた。会場の人込みのせいでどの人物が競っているかは確認できなかったが、3Comが出品していたフラッシュメモリモジュールに関する一連の特許は、ほんの数分のうちに35万ドルから95万ドルに価格がつり上がった。会場の人々からは期せずして拍手が湧き起こった。

明暗が分かれる特許オークション

 しかし、これほどオークションが盛り上がるのはは珍しいケースだ。今回のオークションで成約した特許の落札価格は8000ドルから1万ドルがほとんどで、多くは電話による匿名入札だった。会場に来ていた身元不詳の女性も、この価格帯でさまざまな分野の特許を「買い上げて」いた。彼女は特許取引業者の人間ではないか--オークション後に行われたカクテルパーティー(匿名を保つため、誰も名札は付けていない)で、そんなうわさがささやかれた。特許取引業者とは、買い上げた特許を元にしたライセンス供与や訴訟で利益を得ている企業のことだ。

 まったく入札がなかった特許もある。エアコンの過熱防止技術の特許について、競売人のRoss氏は50万ドルからオークションを開始した。「50万ドルはいませんか?30万ドルでは?……20万ドル」。Ross氏は、「価格を下げていくのは好きではない」と言いながらも、仕方なく競り値を下げていった。しかし入札はなく、出品は取り下げられた。

 イギリスではお宝発掘番組の「Antiques Roadshow」にも出演しているRoss氏は、オークション後、次のように語った。「絵画や車であれば、30万ドルを下回ることはめったにない。しかし、特許はそうはいかない。会場に出向いて、『75万ドルの値はつきそうだ。それなら買いたいものだ』と言い出す人は誰もいない」

 今回のオークション後には、競売にかけられた特許の分野が多岐にわたったことが売り手には災いしたとの声が多く聞かれた。自動車関連の特許が競りにかけられても、半導体企業の入札者は黙って見ているだけだった。物質科学関連の企業は、「Esterified propoxylated glycerols」(Arco Chemicalが開発した油脂の代替物)の特許などには入札するが、発明家Andrea Rose氏が出品したオンラインで衣服のサイズを採寸する技術を競り落とそうとやってきた出席者は、こうした特許には関心を示さない。

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