イーベイの特許権侵害訴訟で米最高裁の審理開始

文:Declan McCullagh(CNET News.com)
翻訳校正:中村智恵子、小林理子
2006年03月30日 21時15分

 ワシントン発--特許システムの将来に関連して熾烈な論争が繰り広げられている中、米最高裁判所の裁判官たちは米国時間3月29日、裁判の核心部分である、eBayが侵害しているとされる特許があまりにささいで漠然としており、真剣に取り上げるようなものではないかもしれないと示唆した。

 約1時間に及んだ口頭弁論でStephen Breyer裁判官は、eBayの「Buy it Now」機能に特許が与えられるのなら、「A&Pはスーパーマーケットとしての業務で特許を取得できるだろう」と語った。

 特許権保持者であるMercExchangeは、Buy it Now機能が特許権を侵害しているとして、2001年9月にeBayを訴えた。これはユーザーがオークションに参加せずに固定価格で品物を購入できる機能だ。連邦控訴裁判所はMercExchangeの訴えを認め、eBayに対して差し止め命令を出すべきとの判決を下した。現在、この差し止め命令は留保されている。

 John Roberts裁判長は、MercExchangeの特許に関する自身の解釈で、「コンピュータのモニター上に表示されている商品の写真から、好きなものを選ぶだけのことだ。私にだってできそうだ」と軽口をたたき、普段は静まっている傍聴席から笑いを誘った。

 「これは、内燃機関(に関して叙述した特許のようなもの)とは違う」とRoberts裁判長は続けた。「非常にあいまいだ」

 この裁判が異例ともいえる多くの注目を集めているのは、特許差し止めの執行に関して重大な影響をもたらす可能性があるためだ。こうした問題はつい先ごろ、幅広い人気を持つResearch In Motion(RIM)の「BlackBerry」サービスが、激しい特許権侵害論争のただ中で、閉鎖の危機に直面したことでも注目を浴びた。

 米国の大手ソフトウェア企業、ハードウェア企業、インターネット企業の多くは、eBayを支持する文書を裁判所に提出しており、「ほぼ自動的に」執行される差し止めは、日常的な業務遂行の脅威となり、疑問の多い特許の権利者にさえ、大きすぎる権力を与えることになると警告している。

 これに対して、個人の発明家や大手製薬会社はeBayに批判的だ。特許権保持者は発明が他者に使用されないための独占権を保有しており、差し止めを保留するための決定権が広く裁判官に委ねられるのであれば、システム全体を「骨抜きにする」ことになると主張している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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