リアルとマイクロソフト、独禁法訴訟で和解の背景-- Harmonyとアップルが後押し

John Borland(CNET News.com)2005年10月12日 14時48分

 RealNetworksとMicrosoftの関係が非常に大きな転換期を迎えたが、その一番大きなきっかけは、Microsoftとは全く関係が無いと思えるような事柄だった。

 2004年初め、RealNetworksのRob Glaser最高経営責任者(CEO)はApple ComputerのSteve Jobs CEOに何度か接触し、他社の音楽配信サービスと互換性のあるiPodを作るよう依頼した。GlaserがJobsに送った個人的な電子メールには、報道によると、Jobsがこれを拒否した場合、RealNetworksはMicrosoftとの提携に踏み切る可能性もあると警告していたという。

 Glaserの電子メールの内容は匿名の人物によって報道関係者にリークされた。Jobsは後日、Appleの株主に対して、RealNetworksとの協力には単に「全く価値が無い」と説明した。3ヶ月後、冷ややかな扱いを受けたRealNetworks側は、AppleのiPodの技術を新しい「Harmony」という音楽ツールにより再現することに成功したと発表した。Appleはこれを不正なやり方だと批判したが、法的措置はとっていない。一方でMicrosoft側も沈黙を守ってきた。

 米国時間11日、Microsoftが、RealNetworksのメディア技術の公然たる支持と、MicrosoftとRealNetworks間の独占禁止法訴訟の終結について、声高に、そして明確に表明した。Glaserは、Microsoftのソフトとも互換性のあるHarmonyの開発が、2社の協力関係の開始を後押しする直接的要因となったとしている。

 Glaserは11日の記者会見にて「Harmonyを開発した際に、Bill (Gates)に連絡し、これは消費者にとって良い話だという考えを伝えた」と語った。「そこから、両者の提携に向けての話し合いが始まった」(Glaser)

 もちろん、RealNetworksがMicrosoftに10億ドルの損害賠償を求めていた今回の独占禁止法訴訟における和解が、両社にとって1つの章の終止を意味するであれば、同時に成立した両社のインターネット音楽配信をめぐる提携は、MicrosoftとRealNetworksの各社にとってデジタル界の展望がここ数年で非常に大きく変化したことを示している。Microsoftにとっても、RealNetworksにとっても、自分たちの未来を脅かすのはApple Computer、そしてとどまることを知らないように見える同社のデジタル音楽配信サービスの成功である。

 両社の弁護士によると、和解交渉は2005年初めから行われており、そのころから両社が互いに補完的な利益を有することに気付き出していた。

 また、両社の弁護士は、和解交渉につながる特別な要因はないと述べ、Appleの優位性が続いていることをひとつの要因とする考えを否定した。

 RealNetworksのGeneral CounselであるBob Kimballも「交渉の席でAppleという言葉が上がった覚えはない」と語った。

 Appleの広報担当者はこの件に関するコメントを避けた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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