米で注目を集める究極のハイテク・サバイバルツール

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年10月03日 11時57分

 ハリケーン「カトリーナ」のような自然災害は、ハイテク機器のあふれる文化を決定的にローテクなものへと変えてしまう。そこでもっとも重要なのは食料と水、そして雨露をしのぐ場所の確保だ。

 しかし、だからといって、科学技術者らが未来の非常用持ち出しキットの発明を止めてしまうわけではない。彼らは、最も基本的なニーズに応える技術を開発しようとしており、そのなかには下水をスポーツドリンクに変えられるものや、長時間使用が可能なライト、低体温状態の被害者を電気を使わずに救うための技術などがある。

 皆さんが技術に詳しく、またすでに非常持ち出しキットのなかに懐中電灯、缶詰、ミネラルウォーター、救急箱、雨具などが入っているなら、生き残るための先進技術を検討してははいかがだろう。なにしろ、米国政府や米赤十字も、災害に備えて3日分の生活/サバイバル用品を用意しておくように勧めている。カトリーナはこの勧めに従うことのメリットを浮き彫りにした。赤十字が用意している標準キットを補完するハイテク救援物資を以下に紹介する。

ナノテク浄水器:
 洪水、地震、海難事故などの災害時に飲料水を確保するための技術の開発には、複数の企業が取り組んでいる。米国で最も一般的な災害は洪水であることから、これらのアイテムを備えておけば重宝するかもしれない。

 「ナノメッシュ」はナノテクノロジーを利用した浄水器で、EPA(米環境保護庁)基準値以下までバクテリアやウイルスを除去できると、これを発明したSeldon Laboratories(本社:バーモント州ウィンザー)は語っている。

 2003年創業のSeldonは、カーボンナノチューブを材料にした新しいタイプのメンブレイン(皮膜)を開発した。このメンブレインは電気や熱、薬品を使わずに、飲料水の味や純度に影響するバクテリア、ウイルス、鉛、ヒ素などの各種化合物を除去する。この「ウォータースティック」は鉛筆程度の大きさながら、1リットルの水を90秒で濾過することができ、まるでコップの水をストローで飲むような感覚で水たまりの水が飲めるようになる。

 SeldonのCEO(最高経営責任者)Alan Cummingsによると、ウォータースティックの試作機はアフリカの医師によって利用されており、来年には市販されるという。Seldonからは今後、2007年ごろに予定される海水脱塩技術や、鳥インフルエンザのような空気感染病から身を守る空気フィルターなど、ナノテクノロジーを利用した各種デバイスが登場する予定だ。

 米軍に物資を納入するHydration Technologies(本社:オレゴン州オールバニー)もメンブレインフィルタを採用しているが、こちらは液体浸透方式で機能する。これは誘水性(水を引き寄せる)で、微少汚染物質の混じった水を濾過する。メンブレインの裏面に味がついているため、汚い水たまりの水をGatoradeに変えることができる。

ハイテク保温装置
 雪深い冬山を訪れた経験があれば、携帯サイズの使い捨てカイロはよく知っているのではないだろうか。これをしばらくの間もんで手袋の中に入れておけば、凍傷を防ぐことができる。Techtrade(本社:ニューヨーク)が開発したのは、これの全身を覆うバージョンだ。米国防総省では、ショック状態、やけど、あるいは低体温の処置のため、同省の支給する非常用持ち出しキットにこのハイテク毛布を入れている。

 Techtrade社長のTed Bartは、この特殊な医療用不織布の製法を発明した。この不織布は、一度開封すると15〜30分で最大40度まで温まり、8時間にわたってこの温度が持続する。TechTradeでは、この織物に含まれるバイオコンポーネント素材の急速な化学反応を回避するため、高周波技術によって毛布の不織布を6秒以内で密着させている。

 「Ready-Heat」と呼ばれるこの使い捨て毛布は、昨年9月にFDA(米食品医薬品局)から承認を受け、10月に発表された。この毛布は、Boundtree Medical(本社:オハイオ州)とGall's Emergency Medical Serviceが30〜50ドルで販売している。

電源不要のエネルギー源
 非常用持ち出しキット用の技術革新で、近年最も大きいのが、電池寿命の延長だ。電池の大半は在庫可能期間が1〜2年だったが、現在は有効期限が5〜7年にまで伸びている。

 非常持ち出しキットメーカー、LifeSecure社長のDavid Scottは、「災害時に確実に機能させるため、数年前までは電池を事実上毎年交換する必要があった」と語る。Scottは、あらゆる災害に備えて信頼性の高い懐中電灯や電池式のラジオを推奨しているが、ソーラー式あるいは手回し式のラジオも高機能キットに採用されつつある。

 Freeplay Energy(本社:英国)の「Sherpa X-Ray Wind-up Torch」は、手動でクランクを回すことにより信頼性の高い明かりを確保する。30秒回しておけば5〜8分間明かりがつき、40分もクランクを回し続ければフル充電が完了する。同デバイスは二重フィラメントの電球を採用しており、最大20時間点灯し続ける。価格は約30ドル。

 Freeplayの「Ranger」というラジオは、AM/FMラジオを太陽電池式、手動クランク式、あるいはバッテリ式にも変更できる。その外付け太陽電池パネルは、直射日光が当たる条件下ではラジオを聞きながら同時にバッテリに充電することもできる。価格は約40ドル。

 Articulated Technologiesが開発した、薄型の柔軟なライトは電気の持ちが格別長い。半導体でできたこのライトは最長で11時間点灯し続ける。同社創業者のJohn Danielsによると、このライトはLEDをビニールシートではさんだつくりになっているが、このシートは軽量で、どんなものでも包んだり、それに掛けておくことが可能だという。この製品は来年発売される予定だと、Danielsは説明している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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