マイクロソフト新社長が語る3カ年計画「Plan J」の正体--幅広く投資を拡大

藤本京子(編集部)2005年07月27日 21時54分

 マイクロソフトは7月27日、7月1日付けで同社代表執行役社長に就任したダレン・ヒューストン氏の就任記者会見を開いた。ヒューストン氏は、McKinseyの役員やStarbucks Coffeeのシニアバイスプレジデントを経て、2003年にMicrosoftに入社し、北米地域の中小企業市場担当バイスプレジデントを務めた後、日本法人の社長に就任した。

 会見でヒューストン氏は、マイクロソフトの3カ年計画となる「Plan J」について説明した。同氏によると、Plan Jで計画していることは、「日本における投資の拡大」「技術革新の促進」「政府、教育機関、産業界とのより深いパートナーシップ」の3つだ。

Plan Jについて語る新社長のダレン・ヒューストン氏

 まず日本での投資拡大についてヒューストン氏は、「人材、パートナー、社会全体のすべてに対して投資を拡大する」とした。具体的には、人材面として、優秀な学生やITプロフェッショナルを積極的に採用するほか、すでに社内にいる優秀な人材に対しても、才能が伸びるような投資をする。パートナーに対しては、協業の拡大や共同投資によって、市場ニーズに対応できるようにしたいとしている。社会に対する投資としては、責任ある企業市民としての活動を倍増させ、デジタルデバイドの解消など、日本社会に直接貢献できる活動に投資する。

 技術革新の促進については、同社の次世代ソフトウェアとなるWindows VistaやOffice 12などへの取り組みに集中することや、セキュリティという大きな課題により迅速に対応できる体制作りをする。また、ここ数年縮小傾向にあった日本国内における研究開発部門を拡大する。この中でも、MSNのR&D強化や、日本が大きく貢献しているゲーム開発部隊である「Microsoft Game Studios」の立ち上げなどがこれにあたる。ヒューストン氏は、「技術革新を促進することで、ユーザーが最新技術を利用することのメリットを十分に実感する仕組み作りをしたい」述べた。

 パートナーシップについては、政府や教育機関、産業界のそれぞれとより密接な関係を築くとしている。政府に対しては、よりオープンな意見交換を実施すると共に、知的財産権などの課題解決に協力する。また、e-Japan政策などの政府の取り組みを支援する。教育機関に対しては、マイクロソフト産学連携研究機構を通じた研究分野でのコラボレーションや、IT環境を整備するため支援する。産業界に対しては、技術面での協業や特許のクロスライセンスをこれまで以上に拡大する。

 こうしたPlan Jを実施するにあたって、どのような成果が出ると目的を達成したことになるのか。ヒューストン氏はその指標として、「能力の高い人材を確保し、トップ企業として認知されること」「パートナー企業が継続的に成功を収めること」「技術革新によって日本社会の発展において中心的な役割を果たすこと」「顧客満足度が向上すること」などを挙げている。

 Plan Jは、基本的にはこれまでのマイクロソフトの指針と大きな違いはない。新社長として、ヒューストン氏が特に注力したいことは何かとの問いに、同氏は「私は個人的にとても社会を意識する人間なので、マイクロソフトが社会と密接な関係を持っていることをアピールできるようになりたい。また、マイクロソフトの人間的な部分を全面に出し、社会貢献していることを示したい」と述べた。

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