SAP、オラクルの買収提案を擁護する文書提出へ

Alorie Gilbert(CNET News.com)2004年03月09日 17時32分

 ソフトウェアメーカーのSAPは、米司法省に正式文書を送付し、ライバルメーカーのOracleおよび、敵対的買収によってPeopleSoft獲得を狙う同社の提案を擁護することを計画している。

 SAP広報担当のBill Wohlは現時時間8日、同社が司法省に対して書簡を送付する計画であることを認めた。司法省が先月起こしたこの訴訟は、OracleによるPeopleSoftの買収阻止を狙ったものだ。Oracleはこれに対して異議を申し立て、6月の公判期日を裁判所に要求することを計画している。世界の大企業向けの、業務を合理化するアプリケーションソフトウェアの市場において、OracleとPeopleSoftの2社は、SAPの強力なライバルとなっている。

 司法省は、 Oracleが94億ドルでPeopleSoftを買収すると、この市場にはSAPとOracleの2社しか残らなくなり、顧客にとっては選択の幅が狭まって、製品の価格が上昇し、また技術革新も少なくなるというのが同省の言い分だ。これに対してOracleは、先週司法省に反論を提出し、大口顧客には幅広い選択肢が残されており、自社とPeopleSoftが合併しても、競争が抑止されることはないと論じている。

 SAPの経営幹部のなかには、司法省の決定がSAPやOracleにとって現実的な競争相手であるMicrosoftや他のメーカーを軽視しているとして、すでに公に不満を述べた者もいる。

 SAPのWohlは、自社による正式文書の送付時期や誰がこの文書に署名するかについてはわからないと述べた。

 OracleとPeopleSoftとの合併劇では、SAP独自の利害も関わっている。OracleがPeopleSoftを買収すれば、SAPが心配すべきライバルは確かに1社減る。しかし、司法省がビジネスアプリケーション市場を支配するプレーヤーとしてSAPを特定すれば、同社が将来ビジネスを拡大しようとした場合に、これを制限される恐れも出てくる。また、ライバル2社の争いが長引けば長引くほど、漁夫の利を得るというSAPの思惑も見え隠れする。このような不透明な競争市場にあって、SAPは安全な選択肢とみなされるようになっているからだ。

 今回の司法省による訴訟は、競争市場の別の一画から思わぬ反応を招いた。ロイター通信によれば、Microsoftは司法省に対し、今後2年間、ビジネスアプリケーション市場でOracleと競争する計画がないとの宣誓陳述書を提出したという。司法省の訴訟に対する同社の反論が、一部には市場におけるOracleのポジションをMicrosoftが脅かしているという主張に基づいていることから、このような陳述書はOracleの主張を弱める可能性がある。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

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