ライブドア、イーバンク出資契約問題の経緯を説明

 ライブドア(旧エッジ)は2月18日、イーバンク銀行との資本・業務提携に関する経緯について説明会を行った。ライブドアは、イーバンク側が出資契約書の内容を履行していないとして、損害賠償請求など司法に訴えていく方針だ。

 ライブドアとイーバンクは2003年10月23日に、資本提携に関する記者会見を共同で行ったが、2004年2月9日にイーバンクがライブドアとの資本・業務提携の解消を発表した。ライブドアによれば「資本・業務提携の解消の発表は、青天の霹靂だった」という。

 ライブドアは2003年9月19日に保有ファンドを通じて12億円を出資し、また10月16日にも22億5000万円の出資を行った。この結果、ライブドアはイーバンクの株式の14.9%を取得し、筆頭株主となった。「社運を賭けて出資した」とライブドア関係者は語る。

 この時締結された出資契約書では、役員の相互派遣、イーバンクの業務改善などが盛り込まれていた。ライブドアでは、イーバンク銀行の業務委託費、土地建物機械賃借料、広告宣伝費がコストの50%以上を占めている点に注目し、経営の合理化を行うことでコストを半減できると試算した。

ライブドア取締役最高財務責任者の宮内亮治氏

 ライブドアからは11名のスタッフを派遣し経営の合理化を進めると同時に、ライブドア取締役最高財務責任者である宮内亮治氏がイーバンクの営業本部長に就任するなど積極的に経営に参画していった。また、イーバンクが持つ投資案件を精査し、不透明なカードローン証券化について質問を行った。ライブドアによれば、この案件は信託登記留保により第三者対抗要件を具備せず実質的に無担保融資となっており、資産リスクではなく企業リスクを保有している点で証券化案件として不自然だったという。また、同案件の対象企業の財務状況が不安定であり、なおかつ実質無担保でありながら約1.7%という低金利に設定されている点などを挙げ、計画の見直しを図ったという。

出資契約書(画像をクリックすると拡大画像が見られます。)

 12月19日には、イーバンクの代表取締役社長松尾泰一氏と河野貴輝氏がライブドアの役員に就任した。ところが同日、「出資契約書の取り交わしは済んでいないと認識している」といった出資契約書を無効とする旨の通知書がイーバンクからライブドアに送付された。また、12月26日には、ライブドアが、同社代表取締役社長兼最高経営責任者の堀江貴文氏と宮内亮治氏の2名を出資契約書に基づいてイーバンクの取締役に就任させるように催告を行ったが、2004年1月14日にイーバンク側から「取締役会は、審議の結果、前記両氏を当社取締役に選任することは適当でないとの結論に達した」との回答が送られてきた。

イーバンクから送られてきた出資契約無効通知(画像をクリックすると拡大画像が見られます。)

 この後、イーバンクから派遣されていた松尾、河野両氏がライブドアの取締役を一身上の都合で辞任、2月9日にはイーバンクによる出資・業務提携の解消を発表する記者会見が設定された。ライブドアによれば、「解消については何の通達もなく、それこそ新聞紙上で知ったものもいる」とのことだ。イーバンクは同社ウェブサイトの主な株主欄からライブドアの名前を削除した。ライブドアでは、「株主利益を守るため、今後も、出資契約書の履行を行うように求めていきたい」とコメントしている。

 この他にもライブドアとイーバンクでは揉めごとが発生している。ライブドアは2月10日、宮内氏の携帯電話の留守電に残されていたイーバンク松尾氏の音声をインターネット上で公開した。これは1月5日に松尾氏の携帯電話からかけられたものとされており、内容は「あんまり遊んでいると、お前の会社をぶっ潰してしまうぞ。本気になるぞ」といったもの。イーバンクは即座に、この録音音声を「偽造されたもの」とライブドアを非難、現在、裁判用声紋判定機関で同一性の確認作業が行われている。

 ライブドアの宮内氏は、「今後、司法の判断にゆだねているものは司法にまかせ、イーバンクの既存の株主と協力して株主の権利を守るよう訴えかけていく」と語る。

ライブドア

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