SIMフリーやMVNOの活性化--開かれたモバイルビジネス市場を目指す総務省の施策 - (page 2)

 谷脇氏は「販売奨励金は、ハイエンド端末をユーザーに安価に提供することを可能にし、より高機能な端末に対する需要を喚起してきた。また、端末とサービスのバンドル化によりサービスの多様な展開を可能にしてきた」と、その役割を一定程度評価しながらも、「利用者間のコスト不公平感や、端末価格と通信料金が一体化することによる料金の不透明性といった問題がある」と指摘した。さらにこうした問題の解決策として、端末料金と通信料金を区分する分離モデルの導入を携帯各社に促しているほか、同じ端末でほかの通信キャリアを利用できるようにするSIMロックの解除について2010年に結論を得る方針であると説明した。

 また、モバイル市場の活性化に欠かせないものとして期待されているもう1つの視点が「MVNO(Mobile Virtual Network Operator)の新規参入」だ。MVNOは電話回線の卸売り再販事業者として海外では一般的に展開されている。日本ではデータ通信系のMVNOの新規参入が期待されるが、まだまだ参入事例は少ない。 総務省では、2007年2月に見直された「MVNO事業化ガイドライン」について2008年3月までに再改定を行ない、MNO(移動体通信事業者)とMVNOの事業者間接続などに関する法制上の解釈の明確化をはかる意向だ。また、現在審査中の2.5GHz帯の事業者認定では、MVNOの受入れ計画の提出が申請者に条件として義務付けられたことなどを挙げ、MVNOの新規参入促進に力を入れる総務省の姿勢が示された。

 総務省では、このほかにも市場環境の整備に向けた施策として、認証や課金機能などのプラットフォームの連携強化や、固定電話と携帯電話を融合したFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスの導入に向けたフェムトセルの早期導入に向けた環境整備などを計画している。さらに、谷脇氏は「サービスや料金の多様化など、急激な市場環境変化に対する消費者保護の観点からその強化に向けた具体的施策も検討していく」と述べ、2007年度内にも総務省内に新たな研究会を設置し、2008年度内をめどに一定の方策を取りまとめる意向であると語った。

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