最終更新時刻:2009年11月21日(土) 15時29分

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米グーグル、携帯OS無償公開 第2のマイクロソフトに

FujiSankei Business i.

2007/11/07 08:19  

 米グーグルは6日、基本ソフト(OS)を含む、携帯電話開発に必要なソフトウエア一式「アンドロイド」を開発し、無償公開する、と発表した。携帯事業者や通信会社など33社と企業連合「オープンハンドセットアライアンス(OHA)」を立ち上げ、世界規模での普及を目指す。携帯電話のOSは、フィンランドのノキアが出資する「シンビアン」や「リナックス」のシェアが高いが、携帯電話の性能向上でマイクロソフトやアップルなどのパソコン業界も勢力を拡大している。グーグルの参入で業界地図が塗り変わる可能性もある。

 企業連合には、台湾のスマートフォンメーカーのHTC、無線機器の米クアルコム、NTTドコモ、KDDIなどが参加。リナックスベースのOSを土台に、操作性を向上させるミドルウエア、閲覧ソフト、アプリケーションなどを共同開発し、基本的に提供されたアプリケーションを使うだけの現在の携帯電話を、パソコンのように自由にアプリケーションを組み込めるものに発展させる。

 「アンドロイド」の開発者で、グーグルの携帯プラットホーム部門長を務めるアンディ・ルービン氏は6日の会見で、「携帯はグーグル創業時の9年前のパソコンの性能に近くなり、ネット活用できる水準に達した。OHAは携帯と、進化を続けるネットパソコンのギャップを埋めることを目指す」と述べ、斬新な端末を速く安く提供するために、最も費用と時間がかかるソフトの共通基盤を無償提供する意義を強調した。

 アンドロイドのソフト開発キットは12日に公開予定で、来年後半には携帯端末が市場に投入される見込みという。

◆◇◆

 数週間前から“グーグルフォン”が発表されるのではないかとのうわさが飛び交っていたが、発表は「携帯向けソフトウエア群」の投入という一段と戦略的な内容となった。「アンドロイド」がウィンドウズのような世界標準となれば、携帯向けの検索サービスでも広告収入を拡大することができ“第2のマイクロソフト”の座は確実となる。

 ≪日本企業は歓迎≫

 「OSやアプリケーションなどのプラットホーム(開発基盤)の統一で、開発コストの圧縮と、開発期間の短縮が見込める」。NTTドコモは企業連合傘下の狙いをこう語る。KDDIも「端末開発の効率化に向けた選択肢がさらに広がる」と期待する。

 日本の携帯電話事業者は、仕様を指定してメーカーに端末を作らせ、それを買い上げて販売している。このため、端末開発費用を「10%削減できる」というアンドロイドの魅力は高い。また、各種ソフトが一括提供されるため、不具合の検査なども軽減され、開発期間の短縮につながる。

 日本の携帯電話端末メーカーは、全世界で端末を販売する欧米メーカーと比べ生産台数が少なく、規模の効果が出ずに苦戦を強いられている。このため、省コスト化は不可避だ。一夜にして変わるということはないが、現在主流であるシンビアン、リナックスといったOSと、各種アプリケーションの組み合わせは、無償のアンドロイドに徐々に取って代わられる可能性は高い。

 「世界市場でリナックスと競争しているし、大手との競争も慣れている」。来日中のシンビアンのナイジェル・クリフォードCEOは、6日の講演で強気の姿勢を見せたが、「有料対無料」という厳しい現実に直面するため、今後の対応策に関する明言を避けた。

 シンビアンは世界最大手の携帯端末メーカーのノキア、エリクソンの出資を受けており、これらのメーカーがアンドロイドに乗り換える可能性は低い。しかし、今後、業界の流れを変えるようなソフトやサービスが開発されれば、変化を余儀なくされるかもしれない。

 一方、今回、最も影響を受けるとみられているのが、隠れた実力企業、携帯端末向けソフト開発大手のACCESSだ。

 日本のほぼ全機種に閲覧ソフトやメールソフトを提供している企業で、一昨年に買収した米パームソースのOSとアプリケーションをパッケージ化したソフト群を、来年には販売する計画だった。すでに、フランステレコム傘下のオレンジが採用を決めるなど、日本のソフトメーカーの海外本格進出として注目を集めたが、グーグルと完全に重複しており、競合は不可避だ。

 ≪パソコン化も≫

 「最もメリットを受けるのは消費者。多くの選択肢が与えられる」と、ルービン氏は語る。

 基本的に組み込まれた機能を使っている携帯電話だが、“パソコン化”により、利用者は必要な機能、最新のサービスを選べるようになる。

 また、パソコンと携帯で予定表を同期させるなど、パソコンとの連動もスムーズになる。

 グーグルでは「高機能機種はネットサービス。普及機種はアプリケーションを充実させる」と例を挙げ、複数のウェブサービスを組み合わせるマッシュアップと呼ばれる機能などに注力する考えを示した。

 一方、端末価格は「10%コスト削減した分は機能アップする」ということから消費者の出費がすぐに軽減されることはなさそうだが、利用者が増えて広告収入が拡大すれば、携帯端末価格の低下要因になるため、携帯業界の価格競争の引き金になる可能性もある。(黒川信雄)

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