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「国内市場に8社も生きられるスペースはない」--NEC携帯電話事業統合の理由
NEC、カシオ計算機、日立製作所の3社が、2010年4月に各社の携帯電話端末事業を統合することに合意した。NECの携帯電話事業と、カシオ計算機と日立製作所の合弁会社であるカシオ日立モバイルコミュニケーションズを統合し、新会社「NECカシオ モバイルコミュニケーションズ」を2010年4月に設立する。9月14日に東京都内で開かれた記者発表会では、それぞれの思惑が語られた。
3社が事業統合に至った最大の要因は、国内携帯電話市場の急速な縮小だ。MM総研によれば、2007年度に5076万台だった市場規模が2008年度には3589万台へと約30%縮小した。契約者数が1億件を突破し、市場が飽和したのに加えて、携帯電話端末の割賦払いによる長期契約や、通信料金と端末代金の分離プランにより端末の価格が上がったことなどにより、買い換え需要が減っていることが主な要因だ。
NECでは今後も国内市場は年3000万台程度にとどまると見ており、「(携帯電話メーカー)8社が生きられるスペースはもうない。良い関係のもの同士が早めに手を組んで、海外市場への基盤を作ったほうが、会社が成長するチャンスがある」(NEC取締役執行役員専務の大武章人氏)と判断したためだという。
NECはW-CDMAという規格を採用し、NTTドコモとソフトバンクモバイルに端末を納入している。また、第3.9世代携帯電話と呼ばれる次世代の規格「Long Term Evolution(LTE)」では通信プラットフォーム技術を開発し、NTTドコモとKDDIに基地局を納品することが決まっている。
一方、カシオ日立はCDMA2000という規格を採用し、主にKDDIに端末を提供している。また、海外にも進出しており、米Verizon Wirelessや韓国LG Telecomに端末を納入している。特にVerizon Wireless向けの防水、耐衝撃性を持つ端末が好調といい、2006年の米国参入以来、2年間で米国での端末出荷台数は3倍になったとのことだ。
今回の提携は、海外市場への足がかりを作りたいNECと、2010年以降に始まるLTEの技術を持ちたいカシオ日立の思惑が一致した形だ。
「LTE時代になっても、一度にLTEに(市場が)移行するわけではなく、GSMやW-CDMA、CDMA2000とLTEのハイブリッドになる。事業統合により、すべての市場に通用する通信技術が得られ、シナジー効果が出せる。(3社の統合は)最適解だと考えている」(カシオ日立の代表取締役社長、大石健樹氏)
ブランド名は継続、シェア1位目指す
NECの携帯電話事業の売上高は2008年度で2314億円、出荷台数は510万台。カシオ日立は同1570億円、380万台。大武氏によると、両社が一緒になることで国内シェアは19%となり、シャープに次いで第2位に躍り出る。
今後は国内シェア1位を目指すとともに、海外市場の拡大を図る考えだ。2012年度には国内出荷700万台、シェア23%となることを目指す。同時に、海外では米国を中心に500万台出荷したい考えだ。メーカーブランドで出すのではなく、Verizon Wirelessのようにキャリアブランドで端末を販売する計画。営業利益率では5%を目指すとしている。
なお、現在携帯電話で使っているNEC、CASIO、HITACHIのブランドは、当面の間残す考え。「新会社の立ち上げをスムーズにするという意味でも、3社のブランドをうまく活用するのが大事だ」(大武氏)。通信キャリア別の出し分けについては、「基本的は棲み分けたいと思っている。ただ、キャリアからの要望があり、たとえば『NTTドコモでカシオブランドが受ける』と言われて、新会社としてメリットが出るのであればやりたい。でも、現実にはあまり起こりえないのではないかと思う」(大武氏)とした。
生産拠点については、新会社のグループ会社となる埼玉日本電気が中心になる。カシオ日立が現在携帯電話を製造している山形カシオ、日立系の東海テックについても、当面は製造を続けるという。「すでに決まっている(携帯電話の)ロードマップがあるので、生産地点を急遽変更するといったことはできない。ただ、統合効果を出すためにはいずれ、最適な生産地を検討しないといけない」と大武氏は話した。
新社名には日立の名前が入っていない。この点について、日立のコンシューマ業務本部長の渡邊修徳氏は「少数株主であり、経営陣を送り込まないということで、経営にはタッチしないため」と説明。新会社への出資比率はNECが70.74%、カシオが20.00%、日立製作所が9.26%となる。また、経営陣はNEC出身者が6名、カシオ出身者が2名となる予定だ。
NECはこれまで、携帯電話のプラットフォーム開発などでパナソニック モバイルコミュニケーションズと協力体制にあった。今回、パナソニックの名前がないことについて、大武氏は「パナソニックとの合弁で作った(通信プラットフォームを開発、販売する)アドコアテックは従来と変わらず、成果をNECとパナソニックに提供する。『なぜこの場にパナソニックがいないのか』と聞かれても難しいのだが、お互いが携帯電話をまだコア事業だと考えており、自分ががんばるという意識が強く、一緒になりにくい環境があったのかもしれない。今回、(事業統合するというような)特別な話はなかった」と話すにとどめた。
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