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第2回:「インフラ事業者」と「いち私企業の論理」は両立するのか - (page 2)
公式サイトの掲載基準を定める立場にある、キャリア自身の姿勢を問わざるを得ない事例もある。
auのユーザー投稿型コンテンツ「Myフォトアルバム」では、下の写真のような著作権侵害画像が人気ランキング上位を占め、auのネット利用者なら誰でも見られる状況が続いていた。au利用者のためのポータル「au My page」では、ごく最近まで誰の目にも触れる場所にこうした画像が堂々と掲載されていたのだ。
ここでは某有名歌手の画像が投稿されている。(モザイク処理は編集部によるもの)
この件に対してKDDIは「わいせつ画像など、見てすぐに判断できるコンテンツは取り締まっているが、著作権については、権利侵害の有無を100%判断できないため、現状ではプロバイダー責任制限法に基づき、権利者から削除申し立てがあった場合に限って対処している」とコメントしており、問題の存在は認識しているとした。
公式サイトは「マスメディア」、一般サイトは「焼畑農業」
近年、「脱公式サイト」という言葉を多く耳にするようになった。定額制の広がりや検索エンジンの普及により、コンテンツビジネスにおいても、制約の多い公式サイトよりも一般サイトに大きな可能性がある、という意見だ。
しかし、複数のCPからは「一部の成功した一般サイト事業者を除けば公式サイト優位という図式はあまり変わっていない」という声が聞こえてくる。
これについてある広告事業者は、「今まで1年以上ブレイクし続けた一般サイトはほとんどない。“ケータイユーザー”は飽きっぽいので、仕方なく別のサイトを作って、今度はそちらにユーザーを誘導する。まるで焼畑農業のように、次々と新しいサイトを作ってはユーザーを回している状態」と説明する。
実際、携帯電話キャリアの非公開データからも、こうした証言は一部裏付けられる。
このデータは、さるキャリアが持っている2006年末時点の内部データ。これを見ると、公式サイトのトップメニューにあるキャリア直営の一部のコーナーでは、月間ユニークユーザー数を「100」とした場合、同一キャリアから「mixiモバイル」を利用するユニークユーザー数は「50〜75」程度の比率に過ぎない。ある有力一般サイトのユニークユーザー数でも、やはり「50」程度になっているという。
単なる音楽やゲームの情報告知がメインという1コンテンツの利用者が、mixiモバイルの総利用者数をはるかに上回っているわけだ。
「確かに、最近は一般サイトも延びている。しかしキャリアから見れば、公式サイトと一般サイトの比率は、マーケットサイズでは50対50ぐらいでしかない。キャリアにとって一般サイトは、文字通りにロングテール」と、さるCP関係者は明かす。
今後は携帯電話用の検索エンジンなどが普及することで、一般サイトの利用者は増加傾向を辿るだろう。しかし、大半の携帯電話利用者にとって公式サイトは、依然としてある意味の「マスメディア」であり、「こうした流れは今後数年は変わることがないだろう」というのが、多くの業界関係者の一致した意見でもある。
携帯電話キャリアの規制は緩すぎる
携帯電話コンテンツで依然として大きな比重を占める公式サイトは、掲載基準が不明確で、その掲載条件もいつの間にか変わってしまう。現状を見る限り、コンテンツ事業者は、キャリアの判断一つで、新規参入も既存サービスの成否も左右される状況が続いている。
2007年2月頃から3キャリアが順次実施し始めた「未成年向けフィルタリングサービス」においては、「一般サイトはすべて閲覧できないサービスを導入する」という一部のキャリアの判断により、真っ当な一般サイト事業者までもがフィルタリングをかけられてしまう可能性があるという状況が、問題視されている。未成年者保護は欠かせない取り組みだが、これでは「脱公式サイト」を志向して成功した一般サイト事業者の示した可能性が、再び暗礁に乗り上げてしまうことにもなりかねない。
この状況は、必ずしもキャリアによるいち私企業の論理による問題だけが原因とも言い切れない。
4月6日に開催された「モバイルビジネス研究会」の第5回。携帯電話事業の新規参入者となるイー・モバイル会長兼CEOの千本倖生氏は、「既にNTT東西を上回る契約者数を抱えるNTTドコモに対して、(国は)規制が緩すぎる」とし、携帯電話キャリアに対する規制の遅れについて、総務省を暗に批判した。続けて携帯電話事業の新規参入者にキャリアが卸売りするネットワーク回線の価格表を定め開示するよう求めたが、この規制の緩さが醸成した結果を象徴するように、これを受けてドコモ関係者が口にしたのは、「(法的)根拠がないので応じられない」という言葉だった。
受け止め方によっては、法規制の緩さをいち私企業の利益追求に利用しているようにも聞こえてくる。
今や事実上の「ユニバーサルサービス」を提供しながら、いち私企業の論理で公式サイトを運営するという「二重基準」を使い分ける携帯電話キャリア。こうした矛盾に対して、キャリアが自発的に是正する動きが出てこない限り、国による規制を求める声は、今後もますます高まっていくだろう。
三田 隆治(みた・たかはる)
フリーライター/ジャーナリスト。有限会社高円寺モバイル代表取締役。携帯電話ビジネスを専門に記事・コラムを多数手がけるほか、自身も携帯電話サービスの事業立案やアドバイザー業務を行う。著著に「携帯電話ビジネスへの挑戦者たち!」など。
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