榛沢明浩(日本ブランド戦略研究所)
2007/12/12 11:28
ウェブブランディングで話題になる手法は大半の場合、一般消費者向けの商品が対象になっている。
しかし、実際にはインターネットは個人的利用にとどまるものではない。むしろ、業務遂行の手段として、仕事上の課題解決のための情報源として幅広く用いられている。
BtoB製品ではBtoC製品以上に営業員の対面での販売が重要となっている。ウェブサイトのアクセスはBtoCと比べてはるかに少なく、ウェブサイト経由の問い合わせは数が限られている。
その結果、BtoB企業ではウェブブランディングの重要性を看過しやすい傾向にある。しかし、実際には取引先の情報収集のためにウェブサイトは非常によく使われている。問い合わせまでの経路に営業員などウェブサイト以外のものが混入するため、見えにくくなっているだけである。
企業ウェブサイトに担当者がアクセスする手段として最も重要なのは「企業名で検索」である。したがって、検索対象としてまず企業名が想起されなければならない。
したがって、企業ブランドのブランディングがBtoBでは非常に重要である。企業ブランドの多くはインターネット以外のメディアで構築される。したがって、BtoBでもBtoCに劣らずクロスメディアが重要となる。
【クチコミのコントロールは難しい】
クチコミでは消費者側に情報主権がある。そこに企業がコミットすることは非常に危険であるといわざるを得ない。消費者の側も、企業に気兼ねをしながら発言するよりは、企業の外のメディアサイトで自由に発言したいだろう。
【クチコミになる内容の製品を提供することが本筋】
クチコミが購入に与える影響は大きい。しかし、企業としてクチコミ自体をコントロールすることは危険である。やはり、クチコミに影響を与える正当な方法は、クチコミになりやすい製品を提供し、話題性のある広告を行うという、非常に当たり前のことをきちんと行うことが王道でないかと思う。
従来、ウェブブランディングではマーケティングの4P(Product、Place、Promotion、Price)のうち、ECなどの流通(place)やプロモーション(promotion)での活用に注目が集まっていた。
しかし、ブランディングはユーザーの求める製品をユーザーの価値観に見合う価格で提供するという、製品(product)戦略および価格(price)戦略が反映されたものでなければならない。ブランドビジョン、製品コンセプト、製品特性、関連情報を適正に配置することによって、ユーザーの探究心を満足させ、自分だけのベストな製品を見つけて所有するという喜びを提供できるブランドが高いブランド価値を実現できる。

ウェブサイトは消費者のこのような購入プロセスを支援することに適したツールであるが、そのためには自社製品をこだわり製品に高めるためのブランド戦略がベースとしてなければならない。
これからのウェブブランディングは、マーケティングのあらゆる側面の見直しの上に立って取り組むという認識を持って行われるべきである。
製品、サービスの選び方を提供し、消費者に選ぶ喜びを与える上で大きなネックとなっていた技術領域の例として、サイト内検索が挙げられる。
従来のサイト内検索は欲しい情報がなかなかヒットしないため、改めて検索サイトに戻って検索しなおすということは多くの方が経験したことだと思われる。
しかし、せっかく自社に誘導したユーザーをもう一度検索サイトに戻すのは非常に惜しいことである。
最近は優れたツールがいくつか登場し、利用が始まっている。
一例としてJALのサイト内検索では、単に検索結果を上位から順に表示するだけでなく、カテゴリ別に分類、メニュー化して表示してくれる。たとえば「ハワイ旅行」と入力すると、「都市・ホテル」、「マイル」、「企業情報」、「ご利用シーン別」とカテゴリ分けをしてくれる。利用シーンなどのカテゴリで絞り込めば、自分でも気がつかなかった新しい旅行スタイルの発見があるかもしれない。
ウェブブランディングでは、プロモーションや流通の側面にどうしても注目が集まりやすい。
しかし、本当にウェブブランディングの力を発揮させるためには、ウェブブランディングの時代に即した製品戦略や価格戦略などを見据え、マーケティングの新たな局面を切り開くことがますます重要になっていくであろう。
東京大学法学部卒業。株式会社コーポレイトディレクションにて大手企業の事業戦略の立案を担当後、トーマツ・コンサルティンググループにて大手企業のM&A企業評価、経営管理システムの導入などを担当。2003年 株式会社日本ブランド戦略研究所 設立。
【主な著書】「図解ブランドマネジメント」(2001)東洋経済新報社、「知的資本とキャッシュフロー経営」(1999)生産性出版、日本公認会計士協会MCS中山基金賞受賞
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