アジア現地駐在員マーケティングレポート

2020年東京五輪「後」を見据えた判断を--マンション価格高騰を読む

島津健三(アウンコンサルティング)2014年12月24日 08時00分

 この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回は日本におけるマンション需要の高まりについてお伝えします。

景気回復の兆しから、不動産業界は好調

 最近、テレビCMを目にした際、マンション販売のCMが増えたと思いませんか? また、駅の広告でも、以前にも増してマンション販売のポスターを目にするようになった印象を受けます。それだけ、マンションの需要が日本、東京で高まっていることが伺えます。実際、海外でインターネットを通じて日本の不動産への投資説明会の集客を行うと、反響が非常に大きくなっています。

 2008年のリーマンショック時、日本の不動産業界は大幅に落ち込みました。落ち込んだのは不動産業界だけではなく、多くの業界、企業が痛手を負ったことを今でも記憶しています。景気が回復の兆しを見せてきた現在、不動産の需要は再び回復してきています。それにはどのような理由があるのでしょうか。また、この不動産需要を支えているのは日本人だけなのでしょうか。

地価が高騰している理由は

 皆さんご存知の通り、2020年に東京オリンピックが開催されることが決定しています。この影響で地価が高騰し、マンション価格も高騰しています。また、日本人の駆け込み需要も地価高騰を押し上げました。この駆け込み需要とは、2014年4月に実施された消費税増税が該当します。また、アベノミクス政策による円安により、海外の投資家が日本不動産を購入している、この様な理由が挙げられます。

 国土交通省が発表した2013年の地価動向(PDF)によると、東京都23区の地価は区全体でマイナス0.2%でしたが、千代田区と中央区は横ばい、港区は0.1%上昇と、やはり都心ではマンション需要が地価を上昇させていることが伺えます。数字だけ見ると大きな変動はないように思えますが、平成24年のものと比べると、その差は一目瞭然です。


2013年の地価動向[出典:国土交通省]

円安の影響で、海外の投資家が日本の不動産に注目

 アベノミクスの政策により円安が続いている昨今、海外の投資家が日本の不動産を購入していることも、東京の地価高騰の理由の1つとして挙げられます。国土交通省発表の平成25年度海外投資家アンケート調査によると、海外投資家が日本への不動産投資として評価が高い項目を「不動産市場の規模」としており、円安の状況とあわせて、現在の日本における不動産市場の盛り上がりを海外の投資家たちも感じ取っていることが伺えます。

投資だけではない、海外の人々が住みやすい街へ

 日本政府は2013年11月5日、国家戦略特別区域基本方針を閣議決定しました。これは「世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出する」とうたわれている政策で、グローバル企業を日本で働きやすくする意味合いも含まれています。この政策が上手く機能すると、今後、より日本で生活をする海外の人々が増える、ないし不動産の需要が増えるのではないでしょうか。

2021年以降は?--先を見据えた判断を

 それでは、2020年の東京オリンピック後はどうなるのでしょうか。

 “2008年に北京五輪を開いた中国は、前の年に14%を超えた経済成長率が開催年と翌年は9%台に鈍化。”

 “1988年のソウル五輪以降、夏季6大会で成長率を比べると、開催年よりその翌年が上昇したのは米国だけ。”(いずれも2012年9月1日発行の日経プラスワンより)

 とあるように、多くのオリンピック開催国では、オリンピック開催前年が経済好調のピークに達し、その後は開催年と開催後の年と下降を続けることが多いようです。

 日本はこの例と同じようになってしまうのか、対策を練って好景気をキープすることができるのか、期待をしたいところです。また個人でも、不動産だけではなく2020年よりも先を見据えた判断が肝になってくると思います。

島津健三(しまづ けんぞう)

アウンコンサルティング

2007年12月アウンコンサルティング入社。

検索エンジンマーケティング(SEM)事業で、コンサルタント、営業を経験。金融、美容業界などBtoCを中心に幅広い業界の導入支援実績を持つ。

現在はエキスパートマネージャーとしてグループを統括し、グローバルマーケティング戦略の立案・実行に携わる。

最近の趣味はジョギング。平日は忙しく運動不足になりがちなので、週末は決まって、近所である多摩川沿いを走っている。



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