シャープが予算2倍で仕掛ける年末ウェブプロモーション--具体例訴求に強み

 シャープが年末商戦において、ウェブプロモーションを積極化している。同社によると、テレビおよび白物家電におけるウェブプロモーション費用は、2016年度下期で前年同期比2倍以上の予算を計上。2016年12月25日まで実施した女優山村紅葉さんを起用した「ヘルシオ」シリーズウェブプロモーションは、閲覧数が合計で100万PVに達した模様だ。

女優山村紅葉さんを起用した「ヘルシオ」シリーズのウェブプロモーション
女優山村紅葉さんを起用した「ヘルシオ」シリーズのウェブプロモーション

 シャープエレクトロニクスマーケティング 総合プロモーション部チームリーダーの太田勝之氏は「テレビや雑誌、新聞ではできない、より具体的な内容を訴求できるのがウェブの強み。提案型の製品が増える中で、商品をもっとよく知りたい人に対して訴求する手段として、ウェブプロモーションを強化している」と語る。さらに「アンバサダープログラム」を初めてスタート。新たなシャープファンづくりにも取り組んでいる。

 シャープは、テレビCMを重視してきた経緯がある。2016年の年末商戦においても、11月22日~12月8日の期間、きゃりーぱみゅぱみゅさんを起用した、テレビ「AQUOS 4K」のテレビCMを放映。「臨場感豊かな高音質を楽しめる」をキーワードに、アラウンドスピーカシステムを訴求。「すべての、あなたの、リビングへ」をメッセージに、1人でも楽しめるAQUOSの魅力を訴えている。

 また、長年に渡ってシャープのイメージキャラクターを務めている吉永小百合さんは、2016年の年末商戦向けにはテレビCMこそ制作していないものの、ウォーターオーブン「ヘルシオ」に関して、デジタルサイネージ向け動画を制作しており、サイネージ広告として見ることができる。

 こうしたテレビCMやサイネージ広告に加え、2016年の年末商戦でシャープが力を注いだのが、ウェブを活用したプロモーションだ。

 太田氏は「テレビを視聴する人が減少し、その一方で、ネットで情報を得たり、ネットで動画を楽しんだりする人たちが増加している。こうした生活行動の変化にあわせて、ウェブプロモーションを強化した」と語る。

 ウェブプロモーションの主軸に位置づけたのが、女優の山村紅葉さんを起用した「ヘルシオシリーズWEBプロモーション」だ。

 ヘルシオ、「ヘルシオ グリエ」、「ヘルシオ ホットクック」の3製品の共通の特徴である「誰でも、簡単に、本格調理」をコンセプトに制作したもので、約2分間の動画を3つのストーリーで展開。食通としても知られる山村紅葉さんが、秘密の多い料理店「RED」を訪問し、「あの女優をうならせるほどの美味しい料理は、実は女子高生がヘルシオで作ったものだった」という驚きの展開を、2時間ドラマを彷彿とさせる演技や、料理を作るシーンまで逆再生した編集技術を使って演出。ヘルシオシリーズを使えば、おいしい本格料理を手軽に作れることを訴求した。

 ヘルシオ グリエでは13歳の少年、ヘルシオ ホットクックでは力士が作った素人料理の味に思わず感動してしまったというシーンが描かれている。

 同社スペシャルサイトのほか、YouTubeおよびGYAO!の動画広告として配信。東京駅構内のほか中部国際空港や、大阪の地下街「ホワイティうめだ」などのデジタルサイネージでも配信した。ウェブサイトでは「期間中合計で100万PVを超えることを想定している」という。

 ちなみに舞台となった料理店名であるREDは、ヘルシオシリーズのイメージカラーである赤から来ているものだが、山村紅葉さんの紅葉から連想される赤とも掛け合わせたという。


体感イベントと連動することで“生で見た感動の声”を伝える

 2つ目は、AQUOS 4K体感イベントと連動したウェブプロモーション「DANCING SANTA by AQUOS 4K」だ。2016年11月20日に、横浜市のみなとみらいで開催したAQUOS 4K体感イベントでは、サンタクロースの衣装をまとった4人のダンサーが、ダンスパフォーマンスをステージ上で披露した。

 ステージ上に設置された「AQUOS 4K LC-70XG35」を9台並べたマルチディスプレイにグラフィカルな映像を表示。ダンス、映像、音を融合したパフォーマンスで来場者を魅了している様子を編集し、動画で配信した。動画では、来場者がAQUOS 4Kを見て感じた画質の鮮明さ、クリアさ、きれいさなどに対するコメントを紹介。「美しさ、際立つ4K」のキーメッセージを訴求した。

 「ダンスパフォーマンスのイベントは2016年夏にも、キッズダンサーを起用して実施。今回は男性ダンサーによるステージにした。動画を通じて、AQUOS 4Kの画質を生で見た感動の声を伝えたかった」とする。同社サイトのほか、YouTubeやLINE、Yahoo! JAPANなどでの動画広告、店頭での展示用PR動画としても配信した。

「アンバサダープログラム」始動でもう一度ファン作りに取り組む

 3つ目がECサイトとの連動広告だ。「調査によると、購入前に『価格.com』をはじめとする比較サイトで価格を調べる人が9割にも達し、『Amazon.co.jp』の口コミサイトを閲覧する人も4割程度を占めているという。こうした傾向を捉えて、価格比較サイトやECサイトを重視する必要があると考えた。2016年春にも同様の試みを行ったが、年末商戦向けには、さらに出稿量を増やしている」とする。

 プラズマクラスター加湿空気清浄機「KI-GXシリーズ」では、通販番組で有名なレジェンド松下さんを起用。「楽天市場」およびAmazon.co.jpで動画を使ってわかりやすく説明。AQUOS 4Kと穴なし槽が特徴の縦型洗濯乾燥機「ES-PX10A」、大型冷蔵庫「メガフリーザー SJ-GT55C」では、価格.comを活用して訴求した。

 そのほか「クックパッド」や「クロワッサン オンライン」、「東洋経済オンライン」、「by.S」、「ROOMIE」などへの配信に加えて、LINEやFacebookなどの各種SNSのユーザータイムラインにもプロモーション動画を配信した。

 「ECサイト向けの広告では、目を引くものや奇抜なアイデアのものを採用している。それによって見てもらい、購入につなげるようにしている」という。

 価格.comでは、プロモーションを開始した2016年11月以降、AQUOSがテレビ全体の中で、売れ筋および注目度で第1位になるなどの成果が上がっている。

 太田氏は「今回の反応を見て、ウェププロモーションの今後の展開を考えていくことになるが、これからもウェプを重視する基本姿勢は変わらない」とする。さらに「ユーザーの嗜好と製品の特徴を照らし合わせながら、欲しいと思ってもらえる人に対して、プロモーションを的確に行えるようにすることで、より効果をあげていきたい」とする。

 一方で、2016年11月24日からは、同社初のアンバサダー制度「SHARPアンバサダープログラム」をスタートした。シャープファンを醸成するための仕掛けの1つで、登録者を対象にファンミーティングなどを実施する予定だ。シャープでは、会員数70万人を誇る「SHARP i CLUB」を展開しているが、アンバサダープログラムに登録したユーザーとは、より緊密な連携をとることになる。登録は無料。現時点では約800人が登録しており、2016年内には1000人を突破しそうだ。

 2017年1月28日には、白物家電事業などを担当する健康・環境システム事業本部の本拠地である大阪府八尾市の八尾事業所で、洗濯機に関するファンミーティングを開催。2月11日には、プラズマクラスターイオンに関するファンミーティングを実施する予定であり、開発者などとの意見交換をし、今後の製品づくりにも反映させる考えだ。

 「アンバサダープログラムへの登録者数の目標値はないが、より多くの方々にシャープファンになっていただき、交流を図りたい」としている。

ファンミーティングが開催される大阪府八尾市の八尾事業所
ファンミーティングが開催される大阪府八尾市の八尾事業所

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