日本のマーケターの6割が「アトリビューション」を知らない--AdRoll調査

 AdRollは6月30日、日本のプログラマティック(運用型広告)に関する業界白書「 State of the Industry ~プログラマティックマーケティングの現状(日本編)」をとりまとめた。広告戦略立案・運用などに日常的に携わる200人の日本のマーケターを対象に、マクロミルの協力のもとAdRollが実施したもの。

 同社によると、マーケティング活動が企業の事業成長の直接的な牽引役を担う昨今、マーケティング部門には、健全な広告施策評価と適切な予算配分の遂行が求められているという。同白書では、日本のマーケターが企業の売上高における増分(インクリメンタルリフト)を生み出すために必須であるプログラマティックをどう活用しているかが明らかにされている。

 調査では、「マーケティングで成功を収めるためにはアトリビューションが不可欠、あるいは重要」と回答した日本のマーケターは39%だが、全体の64%のマーケターがアトリビューションについて知らない、またトラッキング方法や測定方法について理解していないと回答している。

アトリビューション

 顧客の購買行動をアトリビューション(購入にいたった個別アクションの貢献度を分析すること)の観点を踏まえて正確に把握し、効果的な指標(KPI)によってマーケティングキャンペーンを測定、最適化していくことは、データに基づいたマーケティングの基礎だが、今回多くのマーケティングの現場でアトリビューショントラッキングや分析が行われていないことが明らかとなった。

 一方、プログラマティックへの取り組みとしては、2015年時点で日本のマーケターの26%がオンライン広告予算をプログラマティックに充てており、51%が2016年もその予算の維持する、または拡大する予定と回答。マーケターの30%は、プログラマティック広告運用の投資利益率が、従来のメディアバイイングでの運用よりも高いとしている。

プログラマティックへの取り組み

 リターゲティングに関しては、2015年にオンライン広告予算をリターゲティング広告に投資した日本のマーケターの割合は82%。全体のうち43%がオンライン広告予算の10~50%をリターゲティング広告へ充てていた。

リターゲティング

 なお、リターゲティング予算を2016年も維持する、または拡大すると回答したマーケターは全体の59%。リターゲティングで達成できるゴールとしては、「ブランド認知」との回答が35%と最多だった。また、マーケターの39%がソーシャルメディアでリターゲッティングキャンペーンを展開している。

 新規顧客獲得で成果を上げているマーケティングチャネルのランキングでは、ソーシャル広告が第1位(32%)。事業全体でのチャネルランキングでもソーシャルメディアが第1位(21%)にランクインしている。AdRollでは、ソーシャルメディアでのプログラマティックマーケティングの実績が理解され、活発に採用されていることが示されたとしている。

プログラマティックの活用で米国に後れを取る日本

 一方で、2015年度の1世帯あたりのスマートフォン普及率が67%と、スマートフォンの2台持ちのユーザーが増えているとされる中、モバイル上でリターゲティング広告を行っていると回答した日本のマーケターは32%に留まった。その理由として、モバイルサイトがない(30%)、モバイルアプリがない(21%)、ターゲットユーザーがモバイルを利用していない(34%)といった回答が挙がった。

 日本のマーケターが最も大きな割合でマーケティング予算を配分しているのは、新規顧客獲得向けの施策。これは、米国と同様の傾向だが、その米国では新規顧客獲得に成果があるマーケティングチャネルとして、プログラマティックが第3位にランクインしている。一方、国内では第五位に留まり、ランキング上位はいまだ従来チャネルによる施策が占めている。

 AdRollでは、日本においてもプログラマティックを活用したマーケティングの重要性が確実に高まっていると指摘。日本のマーケターがより効率的にプログラマティックを活用し、企業の事業成長に結びつくマーケティングゴールを達成できる仕組みも、経営問題として考える時期に突入したとしている。

 なお、調査に使用した統計データは、AdRollが広告配信において処理している150TB以上のデータを引用している。

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