日立製作所と博報堂は5月27日、全国の20~60代の男女1030人を対象に「ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する意識調査」の結果を発表した。
調査は、商品の購入履歴やGPSによる位置情報のように、特定の個人を必ずしも識別しないが、個人の生活にかかわるさまざまな情報、“生活者情報”をビッグデータとして扱われることに対して、生活者自身がどのような意識を抱いているかを把握するために実施された。
ビッグデータにおける生活者情報の利活用について「活用への期待」と「リスクに対する不安」の大きさを尋ねたところ、「不安が期待より大きい、やや大きい」が計41.5%、「期待と不安が同じくらい」が36.8%、「期待が不安より大きい、やや大きい」が計21.8%と、不安をより大きく感じる生活者が多い結果となった。一方で、「期待がより大きい」と回答した人は、男女別では男性が多く、世代別では40歳代が多いという傾向がみられた。
情報提供で不安を感じることに関する質問では「電話や訪問販売の回数が増えること」と、「お金をだまし取られる詐欺行為の対象として狙われること」への不安が特に強く、「電話や訪問販売」では男性の44.3%、女性の58.1%、「詐欺行為」では男性の42.9%、女性の58.1%が「とても不安」と回答した。また、全ての項目で女性の方が男性よりも強く不安を感じていることがわかった。
生活者情報の活用に関する気がかりなことについて、自由記述形式で回答させたところ、男性よりも女性の方が否定的な語句の発言数が多く、「情報漏洩」「不安・心配」の発言数は、女性が男性の倍近くあった。
「商品購入履歴」「健康診断や病歴などの健康情報」「交通機関利用履歴」について、自身の情報を企業などが利活用することを認めるか尋ねると「健康情報」では19.9%、「交通機関利用履歴」で14.7%、「商品購入履歴」では11.5%が「企業や条件によらず認めない」と回答した。
自分の生活者情報を自分自身が受けるサービス以外に利活用されることに対する抵抗感について、情報の種類ごとに尋ねたところ、「強く感じる」「やや強く感じる」の合計値が最も多かったのは「肖像」で87.6%。以下「資産情報」81.9%、「携帯電話の位置情報」81%、「クレジットカードの使用履歴」76.8%だった。肖像や携帯電話の位置情報といった、組み合わせなどで個人の特定につながりやすい情報ほど抵抗感が強いという結果となった。
生活者情報の活用目的による抵抗感の違いを尋ねと、サービスの改善や政策立案への利活用、災害・事故時の利活用など、生活者や社会に対する利益があるものに対しては比較的抵抗感が弱く、潜在的な顧客を発見するためにウェブ閲覧や購入履歴を利活用することに対しては強い抵抗感があることがわかった。
生活者情報の利活用を認める条件を尋ねたところ、「利活用される情報を自分で削除できる」「用途を制御できる」「利活用の範囲を把握できる」といった項目が上位となった。企業などに自身の情報を無制限に利用されることに対する不安がうかがえる反面、情報利活用の詳細や削除の方法などを明示すれば、生活者は情報の利活用に理解を示す可能性が高くなることがわかった。
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