本体の性能を前面に--パナソニックの空気清浄機の売り方

 空気清浄機市場でパナソニックの存在感が増している。

 同社によると、PM2.5に関する報道が増えた2月の国内販売台数は、前年の2倍に達したほか、3月10日に関東地域で発生した「煙霧」の影響で、その週末は前年の3倍以上という販売台数を記録。系列店であるスーパーパナソニックショップでは2月以降、西日本地域では前年の3~4倍、東日本地域でも約2倍という販売実績になっているという。


鹿窪亮佑氏

 「吸引力の大きな製品が人気となっている。2月のPM2.5、3月の噴霧、そして4月までの花粉対策として、この勢いは続きそうだ。前年の2倍までの需要動向であれば増産で対応できるが、それ以上の需要になると、品不足が発生する可能性もある」とパナソニック日本地域コンシューマーマーケティング部門コンシューマーマーケティングジャパン本部スモールアプライアンスグループリビングチーム主事の鹿窪亮佑氏が語る。

 パナソニックの空気清浄機の売れ行きを加速させている理由のひとつに、PM2.5への対応に関して、大手メーカーで唯一、製品本体性能で試験結果を表示している点が見逃せないだろう。

 パナソニックによると、上位機種であるF-VXH80と同70では、0.3~2.5μmサイズ粒子を約99%集塵。F-VXH50でも約98%の集塵が可能だとしている。


パナソニックはPM2.5対応で本体性能を前面に打ち出す

 PM2.5に対する性能表示については、全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)がガイドラインを示し、その中で、空気清浄機に使用されているフィルタの性能試験をもとにする表示と、本体実績を用いた性能試験をもとにした表示方法を示している。

 国内大手メーカーの多くが、空気清浄機に“HEPAフィルタ”を搭載している。HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタは、空気中のゴミやホコリなどを取り除き、きれいな空気にする目的で使用するエアフィルタの一種。HEPAフィルタ搭載モデルでは、HEPAフィルタで「99.97%以上キャッチ」、HEPAフィルタ以外の搭載モデルでは「95%以上キャッチ」と表示している。

 パナソニックは、数字上は下2桁の表示がない分、HEPAフィルタの性能に比べて低いように見えるが、あくまでも本体性能での表示にこだわり、本体としてどれだけの集塵率があるのかを表示したのだ。


加来あゆみ氏

 「PM2.5への対応はフィルタで集塵するのが基本だが、フィルタ単体の訴求だけでは誤認を与える可能性がある。実際に使用する実機本体の性能を表示することが消費者の理解を得やすい、という当社の考え方に基づいたもの」(パナソニックエコシステムズIAQビジネスユニットアプライアンスマーケティンググループアプライアンスマーケティングジャパンチーム主事の加来あゆみ氏)と、その理由を語る。

 測定方法には、日本電機工業会規格(JEMA1467)で規定されている試験方法を採用することで、家電公取協がガイドラインで示している「適切な性能試験などにより、PM2.5の除去性能などについて実証ができる場合には、その結果や数値を用いて、異なる表示を妨げるものではない」という点に準拠。本体として0.3~2.5μmの粒子に対して、どれぐらいの集塵力があるかを表示した。

 本体の隙間などから、フィルタ部分を通過せずに入り込んだ粒子も含めて、どこまで集塵できるかというのは、本体性能からしか導けない数値だといえる。

 パナソニックは、中国市場でも、中国室内環境観測委員会から大気汚染室内環境問題解決に貢献した企業を評価する「2012年室内環境保護業界十大ニュース賞」を受賞。また、同委員会が技術力の高い新商品に対して授与する「2012年度中国室内環境保護業界新商品重点推奨賞」を、中国市場向けのF-VXH50Cが受賞するなど、パナソニックの空気清浄技術が高い評価を得ている。

 またPM2.5に対しても、国家特定機関が実施する性能調査で、PM2.5以下の粒子状物質の除去で99%の評価を受けているともいう。中国市場でも本体性能を基本にした訴求を行っている点では同じスタンスだ。

 だが、フィルタに関しての訴求メッセージを後回しにしているわけではない。

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