あえて「ネットラジオ」を核に--音楽配信サービスに挑むリアルネットワークス

インタビュー:岩本有平(編集部) 文:吉澤亨史2006年07月12日 21時34分

 リアルネットワークスが定額聴き放題のインターネットラジオサービス「リアルミュージック」の提供を5月31日に開始して、1カ月が経過した。リアルミュージックは現在、ソニー・ミュージックエンタテインメントやワーナーミュージック・ジャパンなど十数社の賛同を得て、約150のジャンル別ステーション(チャンネル)で番組を提供している。利用料金は月額945円で、有償版RealPlayerの購入者は788円となっている。

 2005年にiTunes Music Store(iTMS)のサービスが開始され、NTTドコモ、タワーレコードと提携したNapsterも今秋のサービス開始を発表するなど、音楽配信サービスは楽曲をダウンロードする形式のサービスが主流となっている。

 そういった流れの中、あえてストリーミング型のラジオサービスを開始したリアルネットワークスだが、サービスの取り組みや利用動向、今後の計画はどうなっているのだろうか。リアルネットワークス代表取締役であり、アジア・パシフィック ヴァイスプレジデントであるDouglas Kaplan氏に話を聞いた。

--リアルミュージックのサービスが始まって1カ月が経過しましたが、ユーザー数や反応などはいかがでしょうか。

 現在のところ、ユーザー数は公表していません。しかし、かなりの数のユーザーに利用していただいていることは確かです。それに多くのご要望もサポートに届いています。番組を作り提供している立場として、ユーザーの声をたくさん聞けるというのは非常にうれしく感じています。ユーザーからの要望としては、特定のアーティストやバンドの番組を増やして欲しいというものが多いですね。

Douglas Kaplan氏

 インターネットで音楽を聴く場合、曲を個別に購入しなければならなかったり、ポッドキャストにしても1つ1つをダウンロードして聴かなければなりませんでした。リアルミュージックのように、音楽をかけっぱなしで楽しめるサービスは今まであまりなかったので、ニーズも高かったようです。

--米国の音楽配信では、iTMSが7割強のシェアを占めていると聞きます。

 確かに米国ではiTMSのシェアが圧倒的ですね。強すぎて問題だと思っています(笑)。しかし、iTMSはiPodというデバイスでしか利用できません。それに比べてリアルは多くのデバイスメーカーやレコード会社とパートナーシップを結んで音楽配信サービス「Rhapsody」のサービスを展開しています。確かにiTMSはダウンロードが強いですが、オンデマンドストリーミングサービスでは「Rhapsody」がナンバーワンのサービスと自負しています。

--日本でもiTMSが始まり、NapsterもNTTドコモやタワーレコードと組んでサービスを提供すると発表しています。このような流れの中で、なぜリアルはインターネットラジオを選んだのでしょう。

 日本でもiTMSは強いですが、そのシェアは米国よりずっと低くなっています。ソニーの人気も高いですし、iTMSのほかにもいろいろと音楽配信サービスを提供する企業があります。また、Napsterのサービスは料金を支払い続けなければ、ダウンロードした曲を聴き続けることができないと聞いています。編集部注:ナップスタージャパンでは、PCへダウンロードした楽曲が聴き放題となる月額定額方式と、楽曲1曲単位で購入可能な「ダウンロード型」サービスの提供を予定している。新しいサービスが増えるのはいいことだと思いますが、そのようなモデルを日本人が受け入れるかどうかは微妙でしょう。

 その点、リアルミュージックはいつでも好きなだけ番組を楽しむことができます。それに日本に特化したサービスですので、日本のユーザーに喜ばれる、楽しんでもらえる番組を提供していきます。現在のところはストリーミングによるインターネットラジオサービスという内容になっていますが、今後パートナーが決まり次第、パートナーと提携してダウンロードサービスを追加する予定です。そうなれば単に曲を購入するのではなく、いろいろな番組をラジオ感覚で聴いて楽しむことができて、新しい曲や気に入った曲があったときだけダウンロードすればいいというサービスを提供できます。我々は、あくまでストリーミングにこだわったサービスを提供していきます。

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