最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

DVDコピー企業はハリウッドに勝てるのか

Lisa M. Brown(CNET News.com)

2003/04/03 09:50  

 デジタルミレニアム著作権法やハリウッドの著作権をめぐる一連の騒動のなか、ミズーリ州セントルイスにある新興企業が予期せぬ注目を浴びている。

 321 Studiosという社員数60人のテクノロジー系の会社は、高画質のDVDコピーをつくるソフトウェアプログラムを開発した。しかし昨年の春、321 Studiosの技術が不正コピーの蔓延につながることを恐れた複数の大手映画会社が、連邦検察に訴えると警告したのだ。

 この動きに対し、321 Studiosは同社の製品を合法的なものとして認めるよう裁判所に働きかけた。それから2、3カ月後、今度は映画会社側が、321 StudiosのソフトウェアはDVDの著作権保護機能を回避してコピーをつくるものであり、デジタルミレニアム著作権法に違反しているという訴えを起こした。映画会社側は321 Studiosに対して、同社の製品であるDVD Copy Plus及びDVD X Copyプログラムの販売禁止を命ずるよう裁判所に要請している。

 双方が4月に行われる法廷審問に向けて準備を整える中、321 StudiosのCEOであるRobert MooreがCNET News.comの取材に応じ、ハリウッドの怒りをかったいきさつや、自身が趣味で始めたことが現在消費者の啓蒙運動にまで発展した経緯を語った。

――なぜハリウッドは321 Studiosを標的にしたのでしょう。

 おそらくそれは、我が社がDVDのオリジナルに近い高画質のコピーをつくる製品を開発したからでしょう。昨年我々は自分たちの製品が合法的なものであると裁判所に申し立てましたが、映画会社側の反応はいたって冷やかなものでした。彼らは我々の裁判を無視したかったのです。

――なぜ321 Studiosの製品は合法だという申し立てをしたのですか。

 米Gannett紙が全国に配信した記事が事の発端でした。たった4段落程度の記事です。前半はMPAA(Motion Picture Association of America)のKen Jacobsonが司法当局に、インターネット上で流布されているDVDのコピープログラムを、デジタルミレニアム著作権法に対する刑事法違反のケースとして調査するよう訴えたという内容でした。後半は我が社についての記述です。321 Studiosが標的にされたことが文面から明らかに読み取れ、強い恐怖感を覚えました。それ以前は、デジタルミレニアム著作権法の存在すら知らなかったのですが。

――その時の感想は。

 記事を読み終わった途端、震え上がり、ビジネスをたたみたいという思いに駆られましたよ。

――ハリウッドは321 Studiosに対して訴訟を起こし、製品の流通を阻止しようとしています。現在の状況はどうなっていますか。

 訴訟を受けて立つ構えです。DVD X CopyはDVDのアクセスコントロールを回避するものではないと裁判で証明できます。我が社の目標は、略式判決の申し立てを退け、開示手続きに進み、陪審員の立ち会いのもとで裁判に持ち込むことです。

――DVDのコピーをつくるソフトウェア会社で働き始めた時に、映画業界の懸念は頭に浮かびませんでしたか。

 実を言うと、全く逆の考えを持っていました。私は2台のテープが入るビデオデッキをテレビの上に載せて使っています。左側にマスターテープ、右側に空のテープを入れる場所があって、真ん中にコピーボタンがあるものです。小売店で購入したものですが、8、9年前に買ったので、どの店かは覚えていません。私は何の迷いもなくVHSテープをコピーしてきました。それからDVD関係の仕事を始め、DVDが傷つきやすいとわかると、バックアップをつくる方法を知りたくなりました。そして、インターネットで入手できるツールを使い、自分でその方法を編み出したのです。当時は、デジタルミレニアム著作権法のことについては全く無知で、Jon Johansen(編集部注:DVDの著作権保護機能を解除するソフトを開発したとして起訴されたノルウェーの少年)のことも知りませんでした。その2、3カ月後に、先ほど述べた記事が出たのです。その時に初めて、デジタルミレニアム著作権法の存在をはっきりと意識するようになりました。

――刑事訴訟の可能性についてはどうでしょう。

 特に動きはありません。個人の保存用にDVDのバックアップコピーをとる製品を作ることを、あたかも犯罪行為であるかのように映画会社が取りあげるのは、非常に不愉快で非難されるべきことです。私の周りの人々は皆、憤りをおぼえています。私はというと、強い恐怖を感じました。デジタルミレニアム著作権法違反で起訴されたロシアのソフトメーカーElcomSoftに対して無罪の判決が出ていなければ、我々のケースも犯罪の可能性があるとして捜査が続けられたと思います。映画会社が我が社に対して訴訟を起こす直前にこの判決が出たので、彼らの動きに大きな影響を及ぼしたのでしょう。

――なぜElcomSoftの無罪判決が、ハリウッドの321 Studiosに対する民事訴訟の引き金となったのですか。

 ElcomSoftの例は、もちろん基本的にはデジタルミレニアム著作権法をめぐる刑事訴訟の判例です。政府側は、不本意ながら敗訴しました。個人的には、ElcomSoftの有罪は確実だと思っていました。しかし、無罪の判決が下ったため、検察当局は刑事事件としての観点から我が社を追及する意欲を削がれたのではないかというのが、私の推測です。

――321 Studiosのソフトウェアは、個人が所有するDVDのコピーをつくるために使われるものとされていますが、自分用のバックアップコピーと友人たちに渡すコピーとをどのように見分けることができるのですか。ハリウッドは、明らかにこの点を懸念しています。

 第一に、私は個人としての責任を教え込まれた人間です。過ちを犯した人を差し置いて、物を責めることはできません。工具を刑務所にいれるのではなく、工具を使って他人の家に不法侵入した人を刑務所にいれるものです。我々は著作権保護対策をDVD X Copyにほどこし、この製品に対する我が社の意図を基本的に明らかにしたつもりです。我が社の製品を正しく使うかどうかは、最終的には個人の責任に委ねられます。

――ハリウッドやレコード会社を敵にまわした企業の多くは苦戦を強いられますが、321 Studiosは例外となりうるでしょうか。

 過去の企業は、自らの立場を前面に出して双方が納得する形で合意を図ろうとする努力をしていません。過去の例は、2つのグループに分かれます。一方は、知的所有権を極端に強く主張する、ペイフォープレイのビジネスモデルを信奉するグループです。彼らは、このビジネスモデルを推進するための法律を議会に通したいと望んでいます。もう一方のグループは、無償使用容認派です。彼らのモットーは、「自分が手に入れたものは、他人のもの」。この2つは両極端で、全く反対の立場をとります。私は、Napster派の世界観には大いに反対です。著作し、創造し、発明する仕事で利益を得る権利、利益とまでいかなくても世間から評価される権利は全ての人間にあると信じるからです。

――この問題を解決するために、何か面白い考えはありますか。

 我々は今、デジタル新時代にあり、このような問題に対して有意義な解決法を示した企業はこれまでありません。どれもあいまいで謎めいています。しかし我々は、「ご覧ください。我が社は少なくとも消費者の公正な使用権、可能性、知的所有権管理といった問題を解決することができます」と表明しています。そしてこれが、我が社がDVD X Copyを開発した理由なのです。この製品は著作権保護を目的とする3つの特性を備えています。我が社は著作権侵害に大いに反対しているのです。

――最近、321 Studiosの製品を使って不正コピーを行うユーザーの告訴につながる情報に対して、1万ドルの賞金を払うと発表されましたね。なぜこのようなことをするのですか。

 「あなた達は我々を犯罪者呼ばわりしたが、その証拠を見せてくれ」というMPAAに対するメッセージです。我々は犯罪者ではありません。我々はアメリカ人です。公正に権利を行使しています。

――この賞金を獲得した人はいますか。

 情報はまだ寄せられていません。著作権侵害を目的にDVD X Copyを使う人がいるという確実な情報はまだ入ってきていないのです。不正にコピーされたDVDを売る小型トラックやフリーマーケットがあるという情報は入ってきましたが、我が社の製品とは一切関係のないものでした。

――要は、人は友人を密告できないということではないでしょうか。賞金を獲得するためには、DVDがどのようにコピーされたかという内情に通じている必要があります。

 まず、著作権侵害の定義を明確にしなければなりません。少なくともこの件に関する私の解釈は、著作権侵害とは知的所有権を商業目的で侵害すること、というものです。コピーをつくって友人にあげるなら、オリジナルをあげてコピーを自分の手元におけばよいのです。これには何もおかしいところはありません。1度DVDを買えば、それを他人に譲ったり、売ったり、貸したりと自分の持ち物に何をしてもかまわないはずです。ですから、著作権侵害とは映画のコピーをつくり、友人に見せることだという定義には同意しかねます。それはハリウッドの収入を左右するほどの額ではありません。我々の言う著作権侵害は、MPAAが言うように我が社の製品が大規模な著作権侵害に使われる場合です。しかし彼らの言い分は、信頼できる証拠に基づいているわけではなく、全く根拠のない言い分です。

――映画会社は、誰かがコピーをインターネット上でばらまき、それが自分たちの収益に響くことを心配しているのではないですか。

 実をいうと、ここ数年来、それは現実に起こっています。「Load of the Rings」は米国で劇場公開される2日前からインターネット上で流れていました。著作権侵害目的のソフトウェアはインターネット上で数多く無料で手に入れることができるため、それらを使ってDVDや劇場未公開の映画の違法コピーが出てきています。彼らは特殊な圧縮技術を使い、500から600メガバイトという処理しやすいサイズにファイルを圧縮します。DVD X Copyはファイルの形状を変えたりはしません。もしDVDに収録されている映画を全てインターネット上で送信しようとすると、ダイヤルアップ接続の場合、ファイルのダウンロードに10日間ほどかかります。

――賞金の事を含め、このような事柄を映画会社と話したことはありますか。

 ええ。著作権侵害防止キャンペーンを彼らと協力して行う意思があること、我々が望むのはDVDに収録された映画の無償使用ではなく、公正な使用であり、著作権の侵害に加担するつもりはないことをMPAAの会長であるJack Valentiなどに手紙で伝えました。しかしそれに対して彼らからは、弁護士を通じ、2度と接触してこないようにというメッセージが返ってきました。我々はさらにMPAAに電話をかけて同じメッセージを伝えましたが、返答は同じです。

――これからの目標は?

 映画会社などと共にこういった懸案事項に取り組む方法をみつけたいと思っています。DVD X Copyは幅広く道理にかなった目的に使われるよう、十分な著作権侵害防止機能を備えている事を説得できると確信しています。繰り返しになりますが、このような働きかけに対する答えは、これまでのところ弁護士を通した形でしか戻ってきていません。

――このビジネスを趣味として始められ、現在は訴訟に立ち向かうと同時にProtectfairuse.orgというコピーの正しい使い方を啓蒙するウェブサイトの運営に関わっていらっしゃいますね。大きな飛躍ではないですか。

 たしかにそうですね。今やっていることを楽しんでいますし、それを信じています。私には一緒に運動を行ってくれる仲間がいます。我が社は信じられないほど楽観的な雰囲気に満ちており、皆自分達の仕事は正しく、道理にかなっていると信じています。だからこそ我々はこの運動をしているのあって、その逆ではありません。

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