マイクロソフトが考える「検索のあるべき姿」

インタビュー:別井貴志(編集部)
文:林信行
2005年07月19日 12時00分

 マイクロソフトは、検索サービス「MSNサーチ」に初めて自社開発した新しいアルゴリズム検索エンジンの正式版を採用し、6月25日から切り替えた(関連記事)。そして、この新エンジンのお披露目では、ビル・ゲイツ氏も来日して直々に意気込みを語った(関連記事)。

 そこで、より詳しく同社の検索サービスの方向性などについて、MSNのサーチ製品を担当する重役らに話を聞いた。検索担当のコーポレート バイスプレジデントであるクリストファー・ペイン氏と、MSN R&Dセンターに置かれるインフォメーションサービス開発統括部の部長に就任した浅川秀治氏が質問に答えてくれた。

--MSN Searchは、本腰を入れて再参入する検索エンジンとしては最後発となるわけですが、GoogleやYahoo!に対してどういったアドバンテージがあるのでしょうか

ペイン:ユーザー本意の設計だと思います。今日の検索サービスで満足できている人も大勢いるかもしれませんが、我々は「検索」は、これからずっとよくなると信じています。ユーザーの持つ疑問にももっとちゃんと答えてくれるようになると思います。

 我々が注力しているのは、ユーザーの疑問により正確に答えることです。「我々のソフトを使ってもらえば、より質の高い答えが得られる」、これが我々の戦略です。こうした特徴がよく現れているのが、「デスクトップサーチ」でしょう。さまざまなレビュー記事でも、競合製品より高い評価を受けています。

 我々のソフトはユーザーにより多くの情報を提示しています。Outlookの電子メールやPowerPointのプレゼンテーションなども検索できます。さらに、検索結果をどのように提示するかでも、いろいろと工夫しており、数歩先をいくユーザー体験を提供しています。

--検索関連の研究開発に力を入れ、日本にも大規模な研究部門を設置するということですが、どの程度の規模ですか。また、米国本社とどのように連携していくのでしょう

ペイン:50人の部隊で、日本固有の問題に取り組みます。ただ言語の違いによる課題を研究するだけではなく、モバイルやブロードバンドの技術など背景の違いについても取り組みます。マイクロソフトでは、この20年間、WindowsやOfficeといったソフトで、本社と海外拠点の協力体制を成功させてきましたが、このOfficeと同じ開発モデルで協力していきます。

MSN R&Dセンターのインフォメーションサービス開発統括部の部長に就任した浅川秀治氏

浅川:やはり、一番大きいのは言語の問題ですが、そこへの取り組みも東京調布にあるR&Dチームが独自でやるのではなくて、本社のソフトウェア部隊と一緒にやっていきます。

 例えばペインはデスクトップツールのチームのリーダーなんですが、彼と一緒にやって、あと何を付加できるかや、さらにどこを改良したらいいかを我々の方でやります。その一方で、まだ具体的にはいえませんが、例えばモバイルにフォ−カスしたソフトの開発といったところでは、日本独特の背景も濃いですから、日本の部隊がもうちょっと大きく関わることになります。

--USの研究開発者はどの程度の規模になるのでしょう。

ペイン:数は明かせませんが、ビル・ゲイツも言ったように、世界最大規模です。私もリソース不足で困ることは一切ありません。MSNのソフトウェア開発部隊に加え、Microsoft Researchも、全面的に協力をしてくれます。Microsoft Researchは、検索関連の分野、例えばinformation retrieval(情報検索)やユーザーの行動の学習といった検索関連分野について、世界でもトップクラスのエンジニアを揃えています。

 こうした分野のカンファレンスとしてはもっとも有名なSIGIRコンファレンスの2004年の大会でも、弊社のMSRA(Microsoft Research Asia)というアジアの研究拠点がもっとも多くの成果を発表していました。私が言いたいのはマイクロソフトそのものが検索エンジンを作るのは比較的新しいことですが、Microsoft Resarchでは過去数十年にわたり、この分野での研究実績をあげているのです。

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