「ニコニコ動画」はユーザーをクリエーターにする--戀塚昭彦氏に聞く(後編)

永井美智子(編集部)2007年12月17日 08時10分

 ニコニコ動画の開発に初期段階から携わり、現在のシステムの基礎を築いたドワンゴ 研究開発部 技術支援セクションの戀塚(こいづか)昭彦氏。1990年代にPCゲーム開発者集団「Bio_100%」の一員として活躍し、さまざまなソフトを個人でも開発、提供してきた経験を持つ凄腕プログラマーだ。

 CNET Japanでは戀塚氏にニコニコ動画の誕生にまつわる開発秘話や、ネットコミュニティと良い関係を築く運営ノウハウなどについて話を聞くことができた。その模様を前編、後編に分けて紹介する。なお、前半は開発秘話、後編は運営ノウハウを中心にまとめている。

――Twitterやブログはてなブックマークなどを使って個人でも積極的に情報発信をしていますね。特にはてなブックマークでは、たくさんのニコニコ動画関連の記事にブックマークをつけています。

 あれは、はてなダイアリーのキーワードシステムが便利なので、「ニコニコ動画」などのキーワードに言及している日記を全件巡回しているだけです。それ以外のサイトだと困難なんですが、はてなダイアリーについてはキーワードが現れたサイト順に全部チェックしていけるので、そんなに時間はかかっていないですね。

 はてなブックマークは主に社内の開発メンバーに伝える目的で使っていますが、それ以外にネットコミュニティに対してニコニコ動画の話題を共有してもらうという効果も狙っています。

――情報はオープンにしたほうが良いものですか。

 そうですね。オープンにしない理由がないものは、オープンにしておけばそのほうがメリットがあります。フィードバックがあるので。

 製品の問題点を、企業が作り手として聞き出すのは昔から難しい問題でした。それが友達になるとすごく聞きやすい。だから、いかにユーザーの人たちと仲良くなるかというのはサービスを作る上では結構重要なところなんです。

 ただ、ニコニコ動画は書くことに対する抵抗をなくしてしまう機能を持ったサービスで、思った途端に書けるというシステムなので、ユーザーがうるさくなるように誘導していることになるんですよね。そういう意味では、これまでサイレントマジョリティだった人がかなり声の大きい人たちに変わってくれる効果があったので、よりユーザーの意見が聞きやすいシステムにはなっていると思います。

――それは開発者にとっては嬉しいものですか。

 そうですね。今回は特に、あまり罵倒をもらっていないので(笑)

 昔は個人で開発したソフトに対して、個人名付きで2ちゃんねるにスレッド立てられて、心が折れるようなことがあったんですが(笑)、今回はかなり好印象で受け取ってもらえているようです。特に名うてのプログラマーの人からの、ニコニコ動画に対する評価がすごい高いんですよね。技術者から見ても技術的に問題が見えないようにうまく作り上げられたかな、とは感じています。

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