B・ゲイツ&S・バルマー両氏に聞く--ゲイツ氏とマイクロソフトのこれから - (page 3)

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:坂和敏(編集部)2006年06月16日 18時05分

--多くの人間が、前に進もうとするときに難しいと感じるのは、まだ済ませていない最優先事項が1つか2つ残っていることです。あなたにはまだ2年ほどそうした事柄に取り組む時間があるわけですが、その本当に重要な事柄とは具体的にはどんなことでしょうか。

Gates:この業界では2年というのはかなり長い時間ですが、これからの2年間でMicrosoftが多くの事柄を達成できるように私は望んでいますし、そのために私もフルタイムで力を貸していきます。具体的には、まずリアルタイム・コミュニケーションですね。われわれはすでにこの分野でいくつかの技術の開発に取りかかっていますが、これらは皆さんを驚かせるものになると思います。こうした技術を組み込んだ数多くの新製品が、今後2年間にわたって実現されていくことになるでしょう。

 統合型ファイルストレージについても、いくつか課題があります。Rayには、私が統合型ストレージの正しさを本気で信じていることをよく伝えてありますので、私がここにいない間でも彼が代わりにこの仕事を引き継いでくれています。なぜなら、(その開発には)長い時間がかかっており、またわれわれがこの方向に向けてとった動きのなかには、それが非常に困難なチャレンジであることを示すものがあるからです。わたしはいまでも、これが正しいアイデアだと強く信じています。また、モデルベースのプログラミングも最優先課題の1つです。これについては何人か技術者を雇い入れ、研究を進めさせています。私は確実に彼らがあるところまで到達するようにしたいと考えています。この件は非常勤になった後の仕事の1つになるかもしれませんが、実際にどうなるかはわかりません。

Ballmer:私はこの男のことをよく知っていますので、いまお話しているような移行をするとなった際には、彼が熱中するような事柄があるということがわかります。いまは、そうしたことをするのに最適の時です。興味の対象が変わるだけです。Billは実に簡単に、ある種の対象に夢中になる人間です。

--Microsoftの置かれた状況について、あなた方の見方と世間一般の見方との間に、はっきりとしたズレがあるように思えます。株価や士気(の低下)、動きの素速い競合他社など、数多くの問題を指摘する声もありますが。

Ballmer:士気の問題は奇妙なものです。われわれはこの問題について、社員にアンケートをとりました。それでわかったのですが、実のところ、士気は非常に高いのです。社員の数も増えていますし、新卒でも中途採用でも、以前に増してよい結果を残しています。優れた業績を残した人間が辞めていくケースも、これまでになく少なくなっています。社員はこの会社で働きたいと考えています。彼らはわれわれがやっていることにワクワクしています。

 株価は実際に上がったり下がったりしていますが、しかし利益のほうはそうではありません。わが社の利益は順調に増え続けています。さらに競合他社については、われわれにはいつも、十分うまくやれている相手もいれば、そうでない相手もいました。たとえば、3、4年前には、オープンソースが世界を席巻するだろうと多くの人が言っていたものですが、われわれは(オープンソースとの戦いでも)とてもうまくやってきています。

 われわれが、競争上の課題に直面していることは間違いありません。そのことを否定はしませんが、しかし過去にも常に競争上の課題はあったのです。私はそれらのことを軽く考えてはいません。いっぽう、Microsoftには多くの優秀な人材がおり、研究や、音楽や広告関連の分野でさまざまな事柄に取り組んでいます。現在、われわれには良い意味で世間を驚かせるチャンスがあると私は推測しています。世間一般の通念のほうが正しくないことも往々にしてあります。

--これまでのことを振り返って、「ああしていれば良かった」ということは何かありますか。

Gates:まったくありません。私にはこのようなとても素晴らしい仕事があります。たしかに、われわれはこれまでにいくつかの過ちをしでかしましたが、しかしそれらはいずれも何かを学び取り、物事をもっとうまくやるためのチャンスでした。Microsoftは世界で最も面白い会社であり、経営側にも技術側にも最も優秀な人材が揃っています。ですから、またチャンスを与えられたとしてもきっと同じようにやるでしょう。

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