非IT業種でも「使っていない=遅れている」という存在に--ChatWork・山本代表インタビュー - (page 4)

「チャットと何か」の組み合わせで拡大目指す。年内に新しい動きも?

――チャットワークにおいて、現在課題として捉えているようなものはありますか。将来の展望と合わせて教えてください。

 まず、チャットワークの普及に関しては、ユーザーは広がってはいるものの、まだ非IT業界ではその業界のリーディングカンパニーみたいなところや、新しいチャレンジをしている会社から導入していただいているのが実情です。他の企業にどうリーチしていくかが課題ですね。コストを考えると無数にある中小企業に訪問営業するわけにもいきません。オンライン広告でPRしようとしても、それが届く層は限られています。

 そのため、セミナーやWebinarを開催して、認知してもらう地道な普及活動が重要と考えています。営業部署のないまま拡大してきたチャットワークですが、この1年の間に新しくセールスチーム、マーケティングチームを作って、今はようやくそれがワークし始めたところです。

 一方、チャットワークの機能面でいうと、要望はたくさんあります。ただ何を追加するかの判断はすごく難しいですね。たとえばカレンダー機能が欲しいという要望があっても、すでに一般的に使われているカレンダーサービスと単に連携すればいいだけなのか、とか。要望1つ1つに応えて安易に実装してしまうとハリボテみたいになってしまいます。

 そうすると、チャットワークはなんでもできるんだけど、何をしたらいいか分からない、みたいになってしまう。非IT業種の人たちもターゲットとしていますから、IT業種の人たちのことを考えて機能を増やすか、それとも増やさないか、という部分のバランス取りは難しいところがあります。個人的には、メッセージを残して、後で見直しやすくするための「お気に入り」機能があると便利だろうなと思っています。今は代わりにタスク機能を使っていますが、それがお気に入りのようにまとまっているといいかなと。


チャットワークが抱える課題について語る山本氏

――チャットワーク以外の、新しいサービスを手がける計画はありますか。

 これまで僕はいろいろなサービスを作ってきました。どれも時代を先取りしすぎるくらいの感じでやってきて、それが流行する頃になってくると僕が飽きちゃって次のことをやるんですね。でも、このチャットワークに関しては、日本発のITサービスとして世界の代表的なプラットフォームにする、というミッションがある。

 初めてですね、こんなに1つのプロダクトにずっと自分の関心が向いているのは。もちろん可能性がすごくあると思っているから、ということもあるでしょうけど。「チャット以外の何か」は当面やるつもりはありません。5年先、10年先かは分かりませんが、「チャットと何か」という組み合わせで考えていくと思います。

――グローバル展開の現状と今後の見込みについても教えてください。

 僕は普段米国にいます。シリコンバレーにはスタッフが5人、アジアは台湾に3人いて、日本のスタッフ2人が1カ月のうち3週間くらい出張する形でベトナムにも展開しています。アジアは自然にユーザー数が伸びていますね。日本人がアジア各国にビジネスで関わることが多いからでしょうか。

 北米に関しては競合が多いのと、ユーザーがデザインテイストやツールに求めるものに日本とは違いがあるので、そこをうまくやらないといけません。完全に北米仕様にするのか、その場合日本のテイストと大きく変わってしまうのは問題ないのか、という調整は難しいですね。ただ、そういったところもクリアしてきたであろうGoogleやFacebookやTwitterのように、その両方(の国、文化)にマッチするものを目指さないといけないんだろうと思っています。

――最後にユーザーに伝えたいことがあれば。

 もちろん、チャットワークをもっと便利にしていきます、ということは言いたい。今は80人に増えたChatWorkのスタッフが、より良いプロダクトへの改善と普及拡大に力を入れていきますので、これからも愛用してくれるとうれしいです。

 あと、あまり将来のことは言えませんが、年内に面白い展開がいろいろ待ち受けていますよ、というのは期待感として持ってもらってもいいかなと思います(笑)。

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