グルメサービスのRettyが2000万ユーザー突破--11億円の資金調達に加えインフラ新技術も

 Rettyは7月28日、実名制グルメサービス「Retty」の月間利用者数が2000万人を突破したと発表した。また、WiLをリードインベスターに、ABCドリームベンチャーズ、既存投資家を引受先とした約11億円の第三者割当増資を実施した。

 Rettyは、2011年にサービスを開始。2015年5月には月間ユーザー数が1000万人を突破し、その翌年の2016年5月に2000万人を突破。1000万人到達まで4年弱を要したが、1年でユーザー数が倍増した。季節要因で変動はあるものの月に平均100万人増えているという。

 ユーザーが増加した背景や、資金調達の用途、今後の取り組みなどについて、RettyCEOの武田和也氏に展望を聞いた。

RettyCEOの武田和也氏
RettyCEOの武田和也氏

--月間ユーザー数が2000万人を突破したとのことですが、増加した要因は何でしょうか。また、ユーザー層に変化はありましたか。

 Rettyの前提として、スマートフォン時代の食のプラットフォームを目指しています。スマホから口コミを書く人が増え、データがかなりの数蓄積されてきているので、ユーザーがオーガニックに増えている好循環が起きています。

 ユーザー層も大きく変わりません。引き続き、20~40代、特に30代を中心に利用して頂いています。また、エリアとしては首都圏に集中している傾向は続いていますが、福岡や大阪など地方都市でも増えています。今後は、ユーザーを全国に広げていく予定です。

5月31日時点で月間ユーザー数2200万人を突破した
5月31日時点で月間ユーザー数2200万人を突破した

--口コミはどの程度たまっているのでしょうか。また、データを生かした商品展開などは検討されていますか。

 口コミ数は270万(5月31日時点)件を超えており、人の食に関する行動履歴も含めて、データ量では1000億レコードほどあります。すごい数のデータがたまっているので、これらを生かした広告商品開発や、食に限らないさまざまな業界の課題解決ができるようなものを考えています。

 食は生活の中心で、Rettyのデータを見ると、どのエリアにいる人なのか、このエリアに行く人はどういったところに遊びに行くのかがわかるようになります。不動産など、ありとあらゆる企業のお役に立てるのではないでしょうか。すでに、広告商品の中にも一部同様の機能がありまして、大手の和食チェーンとも現在取引をしております。

--約11億円の資金調達を実施されましたが、調達の主な目的は何でしょうか。

 今回、WiL、EIGHT ROADS VENTURES JAPAN、ABC放送に出資していただきました。ABC放送とは、事業連携するわけではないのですが、番組内での連携などは考えています。また、WiLにはリードインベスターとして出資して頂いています。

 調達した資金については、Rettyはプロモーションをかけてユーザー数を増やす商品ではないため、働く環境も含めて、開発者を中心に人材に投資する予定です。もちろんビジネス系の人員も増やしますが、エンジニアを中心に採用します。

 海外戦略はもとより、国内もこれだけのペースで伸びているので、インフラを含めて開発を強化する必要があります。今回のサイトリニューアルも、ユーザー数が増えていく中で、もっとわかりやすくサービスの価値を提供していく必要があると考えて実施したものです。

--サイトリニューアルでは、どういったポイントを強化しましたか。

 お店を選ぶときの要素として、写真は直感的で分かりやすい要素です。Rettyでは1000万枚以上の写真を蓄積していますので、そういったものをより出していくようアップデートをかけました。また、口コミの見え方も変えており、キャッチコピーのようなものを付与して、ユーザーに評価されているお店独自のポイントを直感的に把握できるようにしています。

Rettyのスマートフォンサイトをリニューアル
Rettyのスマートフォンサイトをリニューアル

--今後の展開はどのようにお考えでしょうか。

 お店の探し方を変えていきたいと思っていますので、「お店を信頼できる人から探す」をコンセプトとして引き続き強化していきます。ユーザー数も含めてこのコンセプトが本格的に支持されてきていますので、今のペースを上げられるような体制と投資を進めていきます。

 最終的には、日本でお店を探す人全員に使ってもらいたいと考えています。お店選びはユーザーによって変わってきますので、さままざなシーンにあったお店が見つかる、ユーザーそれぞれにあったお店を提供できるサイトを目指しています。この点は、他のグルメサイトとの差別化ポイントになると思います。

--2015年5月には月間ユーザー数1000万人を発表されましたが、その際2020年までに最低20カ国で展開する計画を表明していました。海外展開の現状について教えて頂けますでしょうか。

 海外展開の準備は着実に進めていますが、まだ詳細はオープンにしていません。ただし、2020年までにユーザー数1億人を目指していますので、それを実現するためにも海外展開は着実に進めています。

 国内と海外で多少使われ方に違いは出てくるでしょうが、ユーザーが信頼できる人を見つけてそこからお店を探すというコンセプトは変えません。「誰が発信するか」というのが重要になってきます。Rettyのようなコンセプトのサイトは世界中で見てもあまりありません。ローカルビジネス「Yelp」も「食べログ」サイドのサービスです。

--日本発のウェブサービスがなかなか世界に広まらない現状があります。

 米国では、特定の領域に対して課題のレベルが日本より進んでおり、その課題に対してのソリューションが先に生まれるという状況が多いです。日本でも課題のレベルが進んでいる領域がありますので、そこからスタートすれば全世界に展開可能なものを提供できるでしょう。私も以前考察したのですが、日本の場合はゲーム、食、アニメです。この領域であれば、海外より先に展開できるとの結論に達しました。

 もともとRettyは、「食で世界中の人をハッピーに」というゴールがあります。世界で最も外食文化が進んでいる地域が日本であり東京である。そこで生まれたサービスが全世界に広がり、世界中の人に利用される食のプラットフォームにしたいと考えています。

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