好きなアニメは「カウボーイビバップ」--GitHub創業者が日本を語る

 世界で970万人以上のユーザーを抱えるソフトウェア開発共有サービス「GitHub」が6月4日、ついに日本に上陸した。2012年から企業向けに提供している「GitHub Enterprise」は、オープンソースプラットフォームと同じプロジェクト環境をクローズドで再現できることから、英語ながらすでに日立システムズやグリー、ヤフー、サイバーエージェントなどの大手企業に導入されているという。

 GitHubでは初の海外支社として日本にギットハブ・ジャパン合同会社を設立。これまで言語や決済などの観点から導入が難しかった国内企業にもサービスやサポートを提供するため、マクニカネットワークスと国内総代理店契約を締結した。日本語による企業導入をサポートするほか、セールスのローカルスタッフの採用も進めるという。


GitHub共同創業者 CEOのChris Wanstrath氏

 日本展開にあたり初来日したGitHub共同創業者 CEOのChris Wanstrath(クリス・ワントラス)氏に、GitHubが企業にもたらす価値や日本への思いを聞いた。

――なぜ、初の海外支社に日本を選んだのでしょう。2008年の創業から7年が経ったこのタイミングで展開する理由は。

 日本語サポートのないGitHubの設立当初から、日本からのアクセス数は上位10カ国に入り続けており、最近はトップ5まで上がることもありました。また、2014年の日本ユーザーのGitHubでのアクティビティは前年比で60%も増加しており、(日本を初の拠点に選んだことは)とても自然なことだと思っています。GitHubでは初期の頃から、国際的にお客様も従業員もいました。ただ、最近になって営業にも力を入れるようになり、現地に人を置く必要があると判断し、初めて正式にオフィスを設けることにしたのです。

――日本と世界のエンジニアで違いを感じることは。なぜ、日本からはGitHubのようなサービスが生まれなかったのでしょう。

 日本のエンジニアはすでにグローバルなエンジニアだと思っています。GitHubを構成する技術であるRubyは日本生まれですし、私は昔から日本のエンジニアを尊敬しているので、特に違いは感じません。

 また、日本でもGitHubに似たようなサービスは沢山あると思いますが、それらのサービスとの違いは、開発者コミュニティがあるということです。多くの開発者がGitHubを利用しているため、新しいサービスを開発するよりも自ら参加した方が良い。たとえば、最近「Google Code」が閉鎖することになりましたが、そこにいたコミュニティもどんどんGitHubに集まってきたからだと考えています。

――日本企業がGitHubを導入するメリットはどこにあると考えますか。

 あらゆるビジネスがソフトウェアベースになってきている。つまり、すべての会社がソフトウェア会社になる必要があります。今後は、いかに早く良質なソフトウェアを開発できるかが競争力や差別化になるでしょう。また、エンジニアだけでなく法務などすべての社員が自社のサービスに関わっていくことが大切です。そういう意味で、GitHubの導入は企業にとって重要になると思います。

 優秀なエンジニアの採用という側面でも、GitHubは必ず良いツールになると思います。履歴書には、結局何をしたかが書いてあるだけですが、GitHubならその人が実際にどのような開発をしてきたかを把握できるからです。


「GitHub」の画面イメージ

――米国では行政などと連携しています。日本でも同様の取り組みを進めるのでしょうか。

 ぜひ日本の政府とも一緒に仕事をしたいと思っています。米国でよく見られるのですが、多くの街がオープン化した後に連携しています。日本でも1つではなく、複数の組織がオープンになって連携することが大切だと思っています。

――初来日とのことですが日本に対してのイメージは。また注目するサービスなどがあれば教えて下さい。

 私は日本のアニメを見ながら育ってきたので、街中が光っていて、車が走り回っているカッコイイ国をイメージしていました。好きなアニメは「カウボーイビバップ」と「トライガン」で、カウボーイビバップは昨年夏にも観なおしたほどです。実写化が進んでいるという話もあるので、気になりますね。

 実は来日した理由の一つが、もっと日本のサービスについて学びたいと思ったことです。やはりサンフランシスコにいると、なかなかそういったサービスに触れる機会がないので。日本にいる間にいろいろな人と話したり、実際に体験してみたいと思います。

――最後に日本のエンジニアにメッセージをお願いします。

 昔、父親に言われた言葉でいまでも覚えているのが、「失敗できる方法は1つしかない。それは諦めることだ」ということです。皆さん諦めずに開発を続けていきましょう。

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