モンスト好調のミクシィ、再成長への次の一手--森田新社長に聞く

井指啓吾 (編集部)2014年07月01日 08時10分

 「朝倉が事業再生の舵取りがこなす中、新しい事業の種を植え、水がないながらも良いものを育てられた。それが今の再成長フェイズにつながったのだと思います」――ミクシィの経営が事業再生フェイズから再成長フェイズに移行するのに伴い、森田仁基氏が6月24日付けで代表取締役社長に就任した。

 森田氏はこれまで、mixi事業本部長としてSNS「mixi」の事業責任者を務めるとともに、モンストスタジオ エグゼクティブプロデューサーとして、スマートフォン向けゲームで初のヒット作となる「モンスターストライク(モンスト)」などネイティブアプリの創出と事業拡大を統括してきた。

 前社長の朝倉祐介氏とは異なり企画畑を歩んできた森田氏は、これからのミクシィをどのように「再成長」させていくのか。社長就任翌日となる6月25日、森田氏に直接聞いた。


6月24日にミクシィ代表取締役社長に就任した森田仁基氏

--モンストが好調ですが、次の一手はどう考えているのでしょうか。

 「一手」というとなかなか難しいですが、大きく2つのことを考えています。まずはモンストの海外展開。現在、国内で多くのユーザーに受け入れられている状況で、海外については台湾が出たばかりです。そして先日発表した通り、中国、香港、マカオについてはテンセントとともにやっていくことになります。これはミクシィとしても大きなチャレンジになると思っています。既存のモンスト事業と同じビジネスではあるものの、今の国内でもう一つ違う事業を立ち上げるくらいの気合いで進めていますね。

 今は台湾だけではなく、北米のほか、ドイツ、英国などのヨーロッパも市場規模が大きくなっているので、アジア以外への展開も考えています。具体的なことはまだ言えませんが、そこでもう二手、三手、たとえば世界50カ国なら50手を打つくらいの勢いでやっていきたいと考えています。

 一方で、SNS「mixi」のメディア領域や、結婚支援事業の「Confianza」、求人広告事業の「Find Job !」などのライフイベント領域も伸ばしていきたい。当然、コンテンツビジネスのように垂直立ち上げというのはなかなか難しいと思いますが、“人々のスタンダード”となるようなサービスは非常に大事なビジネスなので、今はそれぞれで事業を進めています。それらが花開いてくれば、次の一手になると思います。

 私がこれまで、ミクシィアプリ、ミクシィゲームを担当し、今回モンストを立ち上げていて、さらに今はその調子がいいので「もうゲーム会社になってしまうんじゃないか」と思われがちです。しかし、私としてはゲームは一つの手段というか、「コミュニケーションを発生させる機会をつくるもの」に過ぎません。

 コミュニケーションを発生させるものはゲームには限らないですよね。たとえば今回のブラジルW杯では、mixiの10周年記念企画と連動して、みんなで日本代表を応援する企画を実施しました。そこで応援したことによって人々がつながり、コミュニティが活性化する。そしてそれが新たなビジネスにつながることもある。既存事業をアレンジするだけでもいくつもの事業の可能性があると思うので、そういったところも引き続きやっていきたいですね。

--テンセントとの開発はどのくらい進んでいるのでしょうか。

 進捗率については色々な見方があるため、提供時期などの具体的な内容はまだ言えませんが、開発は非常にうまく進んでいます。日本と中国の利用者動向はかなり異なることがわかってきたので、日本のモンストにはないような独自機能を考えています。

 日本では、対戦や競争に加えて“共闘”が好きな人も多いため、「みんなで集まって力をあわせてやろう」というのをコンセプトとしています。一方で中国では、「この人より自分の方がスコアがいい」などの競争が好きな人が多い。そのため、モンストの基本機能はそのままにしつつ、たとえば「友人同士でカードを自慢し合えたら面白そう」とか、そういう部分を議論しながら、多くの人に受け入れられそうな機能を検討しています。

 あとは、アジアでの一番を狙ううえで、中国のユーザー数の多さに耐えうるインフラを設計しています。そういうことから、どうしてもリリースまでに時間がかかってしまっています。私は今すぐにでも出したいんですけどね(笑)。

--ミクシィの経営が事業再生フェイズから再成長フェイズに移行するとのことですが、森田さんと朝倉さんとではどのような点に違いがあるのでしょうか。

 やはり私と朝倉とではポジションが違っていて、私はどちらかというと事業を伸ばす、作るのが役目です。対して朝倉の役目は事業を再生することでした。サッカーでも点を取る人と守る人のポジションがありますが、この場合、私が点を取るポジション、朝倉が失点を防ぐポジションになるでしょうか。

 これまでは、僕がmixi事業を見ていたりとか、たとえばモンストの立ち上げから関わって、売上などを伸ばしていったりとかに対し、朝倉は中国オフィスの閉鎖をやったりとかを進めていた部分があった。どちらが良い悪いという話ではなくて、ポジションの特徴としてそういうものがある。あとは僕のほうが(年齢的に)おっさんだということくらいですかね(笑)。今後、朝倉は立て直したミクシィを、新規事業を考えながらまっすぐ伸ばしていきます。

--新事業に関するアイデアを生み出すための合宿をされているそうですが。

 役員全員がコミットして合宿を行っています。つい先日も一泊二日でやってきて、そこからも色々なアイデアが生まれました。大事なのは、新しいことを生み出そうとする姿勢を常に続けること。Find Job !から始まり、mixi、モンストと次々に新事業を展開してきたミクシィで、そのようなマインドを会社の文化として新たに見つけたいと思っています。

 合宿で生まれるアイデアにおける大事なポイントは、事業として成り立つかだと思っています。たとえば、「面白いけど収益にならない」とか「収益になるけどこのジャンルはどうか」とか色々あると思っていて、その辺りはミクシィがやる意味というのを考えながら、厳しい目で見ていきたい。ただその分、飛び抜けて良いアイデアには全力を注ぎたいと思っています。前回の合宿でもいいものが得られたので、継続してやっていきたいです。

--SNS「mixi」は今後どのように運営していくのでしょうか。

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