未来を開く新「はてなサービス」の作り方--危機感を持ちつつチャレンジ

岩本有平 (編集部)2012年01月01日 10時00分

 京都に拠点を移して3年が経過したはてな。同社は2011年秋頃から矢継ぎ早にサービスリリース、サービスリニューアルを進めている。“ソーシャル”をうたうサービスが注目を集める中で、はてなはどんな立ち位置を狙うのか。代表取締役の近藤淳也氏に聞いた。

--シリコンバレーから戻り、京都にオフィスを移して3年が経ちました。環境はいかがですか。

 シリコンバレーに行った頃に描いていた理想のストーリーは、現地でエンジニアを採用し、新しいサービスを世界に向けて出してグローバルスタンダードになることでした。ですが実際のところ、米国でエンジニアはとれなかった。シリコンバレーはやはり競争が激しく、言葉の問題もあります。やろうと思えばやれても、時間がかかると思いました。迷った末に日本に帰るという選択肢を選びました。


はてな代表取締役の近藤淳也氏

 当時は20人くらいだった会社も、今は社員で50人。バイトなど含めれば100人規模と増えました。関東では人材確保が難しいと言われる中、京都では優秀な人を得ることができています。

 あとは、集中できる場所にいると言えます。斬新で巨大なサービスを作るには、早くても半年はかかります。新しいサービスは「本当にヒットするの?」と世の中に問われるもの。(ほかのことに目を向けずに)信念を持って開発を続けるにはいい環境です。

 逆に人脈やビジネス、情報といった面で弱いところがあります。ですが、最近は京都で働くモデルができてきました。技術勉強会なども、必要なら東京に出て行けばいい。いろいろなサービスも使ってうまく効率的に情報をとっていけばいいと思っています。実は最近、スタートアップイベントのUstreamなんかも結構見ています。本当にいいと思ったサービスについては、Facebook経由でCEOに連絡したりしています(笑)

--この半年ほど、新サービスのリリースや既存サービスのリニューアルを頻繁に行っていました。2011年を振り返るとはてなにとってどんな年だったのでしょうか。

 全体を通じてテーマにしていたのは「ユーザー層の拡大」です。人力検索を始めた当初は、僕の父親などネットを使うのが難しい人にでも使ってもらいたいという気持ちでした。しかし気付けばコアなユーザーが多くなっていました。

 この要因は——マネジメントの話ですが——優秀なエンジニアが思い思いに作ると、「自分が作りたいモノ」を作ってしまいます。それゆえにコアな人にフィットしがちになってしまいました。それは1つのブランドとしては成功ですが、当初の「広く使って欲しい」という思いがありました。

 以前にユーザー1000万人のサービスという目標を掲げていましたが、現在はまだ250万人くらい。その原因の一端もここにあるのではないかと考えています。

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