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「ニコニコ動画を日本のインフラにする」--夏野氏がニコニコ動画に参画した理由 - (page 3)
――現状で広告主のジャンルは限られていますよね。
夏野:ナショナルクライアントもやっと入ってきました。ただ僕はディーツー コミュニケーションズの非常勤無給代表取締役 兼 創設者として、その方面も多少は明るいので、広告枠をどう設計するかというメディアデザインから始まって、広告代理店との関係、さらに単価の設定、売り方まで含めて全体的に見直そうとしています。見直すというか、拡大しようとしていますね。
西村:いままでは広告代理店に丸投げだったので、企画広告などにあまり力を割けなかったんですよね。
――広告収入のほうが課金収入よりも大きくなるのですか。
夏野:半々くらいにはしたいよね。
西村:個人的な考えですけど、会員数は1000万人くらいで止まると思うんですよね。それ以上はあんまり伸びないと思うんですよ。2ちゃんねるもそうだったんですが、ネット上でひまつぶしをする人の数にはその辺りに壁があるので、その辺りまで来ると有料会員も伸びなくなるんじゃないかなと。そうなると、ほかのところで何とかするしかないかなと思ってます。
――現在抱えている課題は何だと思いますか。
夏野:仲間たちで盛り上がって終わりになってしまっているところですね。いまのままだと、ネットオタクと若者を中心に流行して終わっちゃう。もうちょっと幅広く、日本のインフラにするということが必要かな。そのためにはマーケティングや著作権者との権利調整など、いろいろなことをやらないといけないと思っています。
権利調整の部分はいままでもきちんとやってきている。ただ、いままではサービスをつぶさないためにやってきたところがあるけれども、これからは権利者の方にとってもビジネスになるように、お金だけではなくて何らかの面白い恩返しができるような、国民的インフラにしていく。僕はその部分でお役に立てるかなと思っています。
――インフラというのはどういうものをイメージしていますか。
夏野:みんなが使うものですよ。みんなが楽しく使えるもの。壁はたくさんありますけどね。
――著作権まわりの問題ですか。
夏野:やっぱりそこですよね。どこからどこまでがOKで、どこまでがダメかというのがあいまい。人によっては全面的にダメだし、悪用しているのでなければOKだという人もいる。特にMAD(※編集部注:動画やアニメ等の一部を使って新たな動画を作る手法のこと)に関しては、非常に線引きが難しいですよね。
コメントが付いている方がいいか悪いかいうのも観念論でしかないので、「人の著作物にコメントを付けるとは何事だ」と怒る人もいれば、「コメントが付いているほうがお客様が面白いと思うのであれば、それはコメントが付いていたっていいでしょう」という人もいます。
ただ、著作権物がまったく出てこないメディアだと面白くないと思う人もいる。特に僕らはこれから一般の人に(利用者層を)広げていきたいわけですから、きちんとしたビジネスモデルを描けるかどうかというのが非常に重要なポイントだと思っています。
――その意味で、ニコニ・コモンズで著作権者が素材をライセンス販売できるというのは大きいですね。
夏野:まずはユーザーや、素材を使っても構わないというコンテンツプロバイダーの素材が出てくると思います。
ニコニ・コモンズというのはあくまでもルールですから。我々のほうで課金代行するということも検討はしていますが、どの段階でどういうふうにやるかは様子を見ながら決めたいと思います。
ただ1つ言えるのは、我々が儲けるためにやっているわけではないということです。僕らが課金システムを用意して、それしかダメだと言うのは、絶対にダメです。iモードですらドコモがコンテンツ販売で儲けるためにやったと言われますけど、それなら手数料を9%なんかにしてません(笑)。あれは、ダイアルQ2の手数料が9%だったから。コンテンツプロバイダーが「そのくらいならいいか」と思う値段にして、彼らが乗りやすいようにしただけで、大きな利益は狙ってないんですよ。
ニコニ・コモンズで最初から課金システムを用意しない理由はそこにあるんです。もともと、自由にやってもらいたいと思っていて、素材は有料が当たり前だというのも何か嫌だなと思うし。そんなところでドワンゴが儲けたら、逆に素材が出てこなくなりますよ。
――ちなみに、運営者の中で、西村さんや夏野さんの役割分担はどうなっていますか。
西村:分担はあまりないですね(笑)
夏野:最初は、僕が抑え役だと思ってきたんですよ。そしたら、社内の会議ではひろゆきが僕を抑えてます(笑)
西村:そこはさすがに、みたいな(笑)。一番過激なんですよ。みんな多少引いてたりする(笑)。……大人ポジション向いていないんですけどね、僕。
夏野氏はドワンゴ内に部屋を持ち、毎日出社しているという。ちなみにiPhoneはすでに手に入れており、「電池はもたないけど楽しい。ビューアーとして素晴らしい」と話していた――これからニコニコ動画をどんな世界にしていきたいですか。
西村:僕は昔と変わってないですけどね。面白ければいいや。でも面白いだけだと会社がまわらないので、まわせそうな人を連れてきたら何とかしてくれるかな、僕は楽しいポジションだけでいられるんじゃないかなと期待しているんですけど。
社会的な注目はみんな夏野さんに向くと思うので、僕は「これ面白いよね」と企画に茶々を入れるだけで済むんじゃないかなと。
夏野:でもさ、その「面白くあり続ける」というのが一番のチャレンジなんだよね。
西村:世間が面白いと思うのと、僕が面白いと思うのは、ずれるとは思うんですけどね。ただ、いまのところはそんなにずれてない。
夏野:面白くあり続けないとメディアにならない。ただ、面白くあり続けるのと、ビジネスとしてちゃんとまわるのと、両方ないといけない。
100年メディアにしたいですね。100年間面白くて、100年間ビジネスとしてまわる。いまのところ「1年半面白かった、でもビジネスとしてまわってません」みたいな状態なので。
――ニコニコ動画はメディアですか。
夏野:一方通行的なメディアではないけれども、メディア的な側面があると思ってます。
西村:メディアとは何か、というのは人によって違うと思います。僕は小さいころのニコニコ動画を知っているので、あまり大きくなったような気がしていないんですよね。システム自体は変わってなくて、ユーザーが増えてサーバの量が増えただけで、実際のコンセプトは最初とまったく一緒じゃないですか。だからあんまりメディア感みたいなのはないですけどね。
夏野:一部の人だけが発信できるというものではないので、どちらかというとインフラ、プラットフォームなんだな。有料のコミュニティとか出てくると、ニコニコ動画だけで食っていけるような人が出てくる。そういう意味ではプラットフォームに近いかな。
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