大口 デジタルプレーヤーで、かつ動くという製品コンセプトをそのままデザインすると、どうしてもどこかおもちゃぽさが残ってしまう。でもRollyでは、ディテールで価値をあげたかったので、デザインする上では「高級感を出して」とか「未来っぽく」とか「おもちゃっぽいのはダメ」とか漠然とした希望を出して、好き勝手なことを言ってましたね。彼らはずいぶん苦労したと思いますよ。
沢井 彼らの要望を元に、高級感と表情を表せるLEDを仕込みました。光も動きの1つなので、LEDが動きにより豊かな表情を与えてくれるというのはAIBOで実証済みでしたので。
ただサイズが小さいので、少ないエネルギーで最大の効果を上げなくてはならない。そこでチューブの端に光を投げ込むとチューブ全体が光るという特性を持つ「ライトチューブ」を使いました。その結果、内包された光が隙間から漏れる事で生命感を表現できたんです。
この隙間のアイデアからは、別の効果も生まれたんですよ。形状の面同士はぴったりと合うのがきれいなんですが、タイヤが動く以上遊びが欠かせません。このクリアランス(注:幅をこれだけ開けるという製造上の指定)を守ると、今度は丸い形が分断されてしまう。それを逆手に取って隙間から光が漏れる形にしようと思ったんです。
ライトチューブの光で反射板のエッジが光ると、内部に光があるように感じられる仕組みになっています。表面の光の帯に加え、内部に光を仕込みつつクリアランスの問題も解決する、というアイデアが詰まっているんです。
大口 この光のおかげで、Rollyの中は空洞のような、何にも入っていないように見えませんか? 内部が透けて光っているように見せることで、なぜこれが動くのか? と思わせる不思議さがある。メカメカしさが一切感じられないのがすごいなと。
沢井 これは技術的要素が大きく関係しています。アーム同様、光の色も滑らかに遷移させる必要があるんですが、RGB3色の合成過程では、色によって緑や赤に寄ることがあって、それでは美しくないからきれいに表現できる色はどれか、と考えつつ決定しました。
大口 しかも、このLEDがディスプレイの代わりもしていますからね。まず、青はBluetooth使用時、赤は警告時に光るように設定してあり、これは機能を表す機能色ですね。
この機能色を避けつつ、ノーマル再生時は水色、シャッフル再生時はオレンジなどを採用していきました。“なるべく違うテイストの2色”かつ“機能色と見分けのつく色”など設計上の制約が多くて大変でした。
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