iRobotの未来へのアプローチ:高収益企業への転換に必要なものは? - (page 2)

文:Candace Lombardi 翻訳校正:吉井美有2007年09月26日 08時00分

―HusqvarnaはRoombaの動きに非常に似た芝刈りロボットを出しています。このロボットは同じコンセプトで動いています。

 そうですね。

―そのような領域に参入することは考えていますか。

 われわれが今やっていることやこれからやろうとしていることは喜んで話しますが、苛烈な競争にさらされていてお話しできないこともあります。芝刈りはロボットの適用分野として素晴らしい分野だということは言えるでしょう。これについては以前もお話ししました。われわれは2つの新製品をDigitalLife(訳注:9月にニューヨーク市で開催される消費者製品やゲーム、エンターテインメントをテーマにした展示会)で2つの新製品を発表する予定ですが、芝刈りロボットはその中にありません。ここで発表される新製品が芝刈りロボットではないかという憶測が流れていたことは承知しています。確かにそれはわれわれが興味を持っている分野であり、ロボットがやるべき仕事と考えるのは突き詰めればまっとうなことだと思います。

―iRobotの軍事分野に話題を向けましょう。現在戦場に出ているPackBotsは何台ほどあるのですか。

 1000台以上が出荷されており、それらのロボットの大半がイラクにあるということはお話しできます。これについては詩を読むこともできますよ。事態に影響を及ぼしているのはひじょうに満足できることです。PackBotsが送り返されてきて、それが爆発で吹き飛ばされていれば、「なんてことだ」という感じです。それで誰かの命が救えたということですし、これは素晴らしい適用分野で、われわれがこの分野でやっている仕事が誇るべきものであるということですから。

 ロボット産業は今、非常に刺激的な時期を迎えていると思います。iRobotのような企業は、ビジネス的な観点からも成功し始めており、これは素晴らしいことです。事業としての成功は、産業が立ち上がるうえでは不可欠です。ただ、われわれはソフトウェアではなくモノを作っているので、この事業は資本集約産業であり、時間・労働集約産業です。このため、成長の速度は熱狂的な支持者に対しては不満を抱かせるものになりますが、懐疑派を驚かせる速さで成長するでしょう。

―最近ユタ州で起きた鉱山崩落事故で、採掘の危険と捜索救助の難しさが米国人の意識に上っています。消費者向けロボットのトップメーカーの1社として、ロボットがこの種の捜索救助の場面でどのように役に立つかをお話しいただけますか。

 そうですね、ロボットは退屈な環境、汚い環境、危険な環境、つまり人がいたくないと思う環境で輝く存在です。採掘は非常に重要で、かつ危険でもある挑戦ですから、鉱業はロボットが役割を広げていくことのできる、成熟した領域だと思います。この最近の状況では……不安定な状況下で救助に取り組むうえで最に最も難しいことは、救助者を危険にさらさないようにすることです。これはロボットにとって重要な仕事です(編集注:質問の「事故」は、2007年8月6日にユタ州で起きた事故を指している。Los Angeles Times等の報じたところによると、Murray Energyの所有する炭鉱Crandall Canyon Mineで崩落事故が起き、採掘作業中だった6名が地底1500フィートの炭鉱内部に閉じ込められた。閉じ込められた地点に向かって穴を掘り進むなどの捜索・救出活動が進められたものの、Murray Energyは行方不明者6名の救出活動を打ち切り、炭鉱の事故発生部分を閉鎖することを8月23日に発表した。この事故で、救出に向かったレスキュー人員が1名死亡している)。

―採掘作業全般についてはどうでしょうか。

 ロボットによる採掘の作業は、大量の岩石を移動させたり、岩盤を掘削したりするもので、採掘ができるロボットを作るのは簡単な仕事ではありません。このロボットは、現場へ移動して岩を砕き、溜め込むことのできる巨大で怖ろしげな機械になるでしょう。現在の状況を考えると、ロボットの役割はおそらくシャフトを打つ最初の作業を助けているわけではないでしょう。そのあとにシャフトを降りて走り回り、採掘技術者のために調査を行うことになるでしょう。 現在はカメラを降ろして周囲を見回し、もし何も見えないか周辺10〜15フィートしか見えなければ、掘削したいところまで道を作り、そこで掘削をして何かが見つかるのを期待するということをしています。

―2002年には、iRobotは軍のためにアフガニスタンの洞窟を調査できるPackBotを作っており、National Geographic Societyのためにエジプトのプラミッドを探索するロボットも作っています。この種のロボットを鉱山での調査に使うことができない技術的な障害は何ですか。

 鉱山での問題は、単に物理的なものです。坑があまり大きくなく、PackBotは大きすぎて坑を降ろせません。ピラミッドのロボットは、坑の中で動作し移動できるように特別に設計されて作られましたが、一度降りてしまって洞窟の中を動き回るとなると同じ移動性は発揮できません。

 緊急用アクセスホールを降りて、その後動き回るロボットを作ることは十分可能ですが、それには経済的な問題があります。それは発展性の高い事業だろうか、あるいはこの種の非常に特別な装備を買う仕組みがあるかなどが問題となります。この問いの答えはノーかもしれません。もし政府にそのような機器を作るプログラムを支援する用意があれば、iRobotはきっとその機器を作る企業の候補にじゅうぶんなるでしょう。しかし、それだけコンパクトで有能なロボットを作るには、コスト的な困難が伴います。

―最近は製造工程の他国へのアウトソーシングに関する問題のニュースがよく聞かれます。iRobotでは、消費者製品に組み込まれるすべての部品の品質を管理するために、どのような計画をもっていますか。

 われわれは一部の製品を国外で生産していますが、自前の運用部隊をそれらの工場の隣りに設け、実際にiRobotの従業員がそれらの工場に毎日出向き、品質を検査して、起こるべきことが実際起こっていることを確認しています。玩具業界とは違ってロボットは非常に複雑なので、もし工場で素晴らしい品質を維持できなければ、当社のロボットが顧客を失望させてしまいます。ある意味で、われわれには物事を自由に進める余地がなく、それをすればリスクが大きくなりすぎてしまうでしょう。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]